こんにちは!クリスク・ベトナムのリエンです。
ベトナム人にとって大切な習慣であるテト(旧正月/春節)。この期間は経済活動も活発になるため、企業もそれにあわせて大規模なプロモーションを毎年実施しています。
前回の記事でもご紹介したように、ベトナムではYouTubeが日常的に不可欠なものになっているため、最近はYouTubeを活用したプロモーションも増えています。
3ヶ月で17万本の動画が削除 YouTube大国ベトナムの今
そこで今回は、今年のテト(2021年は2月10日〜16日)に向けて展開されているキャンペーンのうち、注目を集めている動画広告(YouTube)の事例を3つご紹介します。
▼参考記事
テト(旧正月)不必要論に99%が反対! ベトナム人がテトをとても大切にするワケ
事例①【HONDA】人気ラッパー ĐenとJusta TeeのMV
ホンダベトナムは、マーケティングキャンペーンの一環でベトナムの人気ラッパーであるĐenとJusta Teeの新曲「Đi Về Nhà(家に帰る)」というミュージックビデオを制作し、YouTubeで公開しました。
- 企業名:ホンダベトナム
- 利用メディア:YouTubeの音楽MV
- 公開時期:2020年12月〜
- 視聴回数:74,025,985 (2021年2月9日時点)
- いいね数:110万
キャンペーンのキーメッセージは「幸せは家に帰れること」。
そのため動画では、家族の優しさ、故郷への思いを込めた歌詞などが表現されており、多くの人から共感を得ています。
このYouTube動画は、これまでに7000万回以上再生され、ついたコメントは4万件以上、YouTubeベトナムトレンドランキングで1位を獲得しています。
またYouTube以外でも、iTunesベトナムのランキングで1位を獲得しています。
MV全体を通してホンダのバイクが登場するシーンがありますが、非常に印象的なシーンで使われており、音楽と広告をうまく組み合わせた成功事例と言えるのではないでしょうか。
事例②【Pepsi】ブランディングキャンペーン
Pepsiが実施したキャンペーンは「#テトを持ち帰る」。
この動画広告は様々な困難を乗り越え、テトのために帰省するというストーリーです。「Rap Viet」というベトナムの人気TV番組に出演しているラッパーたちが起用され注目されました。
- 企業名:Pepsi
- 利用メディア:YouTubeの動画広告
- 公開期間:2020年12月
- 視聴回数:20,968,987 (2021年2月9日)
- いいね数:3万
このキャンペーンは単なる広告ではなく、ホーチミン共産青年同盟とコラボし、 3,000人の学生や若年労働者を対象に、航空券、往復バスチケットなどを贈るという、帰省が困難な状況にある若者を救う企画になっています。
事例③ 【Generali】ブランディングキャンペーン
Generaliという保険会社のキャンペーンで、「Sống Như Ý」という保険商品のプロモーションのため5分程度のショートムービーをYouTubeで公開しました。
- 企業名:Generali Vietnam(保険会社)※Generali=イタリア最大の保険会社
- 利用メディア:YouTubeの短編映画
- 公開期間:2021年1月
- 視聴回数:27,769,051 (2021年2月9日)
- いいね数:3.9千
動画はこれまでに2700万回以上再生されました。これにより「Sống Như Ý(好きなように生きる)」というブランドメッセージを伝ることに成功しています。
成功のポイントの一つは、ヒット曲の Bella Ciaoをカバーし、ユーモアあるストーリーで視聴者の興味を惹きつけたことにあります。
なお、Generaliは動画広告だけでなく、SNSもうまく活用しています。
KOL(Key Opinion Leader)とコラボし、Facebookのファンページで定期的にミニゲームを提供しています。
例えば、テトをテーマにハッシュタグと共に投稿してもらい、「いいね」やシェア数といったSNSユーザーからの評価でゲームの点数がつくものなどです。
以下のゲームも多くのユーザーがシェアし、多くの拡散効果を得ています。
まとめ
新年のお祝いのために家族が集まるテト期間は、企業にとっては重要なキャンペーン期間となります。年末に家族と過ごすことを楽しみにしている人たちに向け「家族」をテーマにしたキャンペーンは効果的です。
業種はそれぞれ違いますが、今回ご紹介した事例は3つとも家族をテーマに、音楽をうまく活用したものが人気となりました。
ベトナムではTVでラップ番組が人気になっており、2021年はラッパーを活用した同様の取り組みが増えるかもしれません。
(執筆:ヴ ティ フオン リエン 編集:ヤマシタノリヒサ)