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テト(旧正月)不必要論に99%が反対! ベトナム人がテトをとても大切にするワケ

最近、ベトナムではネット上でテト(旧正月)はなくして、太陽暦の新年と一緒にしたほうがいいのではないか? という論争が起き、ちょっとした話題となりました。ベトナム人にとって、テト(旧正月)はどういう期間なのかを説明したいと思います。

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こんにちは!
ベトナムスタッフのリエンです。

最近、ネットでテト(旧正月)はなくして、太陽暦の新年と一緒にしたほうがいいのではないか? という論争が起き、ベトナムではちょっとした話題となりました。

  • テト期間中に世界は働いているがベトナム人は遊ぶ
  • 太陽暦の新年と旧正月を一緒にした方が海外企業とのビジネスチャンスが増える
  • 経済的損失を受けずに済む

というような意見がネット上で発表され話題を呼びました。実際に、旧正月前後は仕事にならないと嘆くベトナム人は多くいます。

しかし、「Brands Vietnam 」というベトナム専門会社の調査によると、SNSでは99%近くがこの案に反対したことが分かりました。
それは一体なぜなのでしょうか?

ベトナム人にとって、テト(旧正月)はどういう期間なのかを説明したいと思います。

ベトナムは休日の数がとても少ない!

どれくらい少ないかと言うと、祝祭日は年間に10日、有給休暇は12日しかありません。
また、欧米や日本などの国では週休2日制が主ですが、ベトナムでは土曜日も午前中は出社しなければならない企業も多く、実際は週休1.5日なのです。


参考元:Border magazine 
参考元:Wikipedia

そんなベトナムにおいて、旧正月のテトがある2月は、最も祝日が多い月となっています。
日本のゴールデンウィークや韓国の中秋節のような長期連休が全くないベトナムでは、唯一4日間以上の長期連休が取れる期間なのです。

テト(旧正月)で本当にビジネスチャンスを失うのか?

連休によりビジネスチャンスを失う、という声がありますが、残業代や手当をもらえるなら、運営計画を守るためにテト(旧正月)期間中でも普通に出勤する人は存在します。

本当に大事なビジネスチャンスならば、テト(旧正月)で休み、失うようなことをしたりしないでしょう。

また、旧暦を祝うのはベトナムだけではなく、中国、韓国、東南アジアの諸国も含まれています。確かに会社、工場、事務所などの一般企業は大半が開店していませんが、最近では、ベトナム建国の祖・フン王の命日や、テトの期間中の大事な祝日でも、街中の商店やコンビニの多くが営業しています。テトも2日目になると殆どのお店が開いているため、大きな影響はないと言えるでしょう。

テト(旧正月)はベトナムの買物熱が高まる

テトの直前期は、ベトナムのブラックフライデーと言われるほどベトナムの買い物熱が高まる時期です。

なぜなら、ベトナム人はテトが充実すると新しい1年も充実し幸運がくる、と信じているため、新年の準備や必要物資をあらかじめ買いためるからです。

そのため、テト期間中は、食事、衣服、室内装飾用の花など、さまざまなマーケットで売り買いが盛んに行われます。

従ってテト直前期は、広告やプロモーション、期間限定のキャンペーンなどを実行する一番理想的な期間で、企業にとっても絶好のチャンスなのです。

実際、ホーチミン市の産業貿易省が発表した統計によると 、2018年2月(旧正月時期)はホーチミン市の購買力は通常の30%~40%ほど増加したそうです。

テト(旧正月)期間中は、エンターテイメントの需要も拡大する

ハノイやホーチミンなどの大都会で住んでいる人はテト期間中に自宅や親戚の家で過ごすだけではなく、外出してショッピングモールやエンターテイメントを楽しむことも近頃では一般的になりました。

この傾向により、テト期間のエンターテイメント業界やサービス業界は、平日に比べて大きな収益をあげており、テトの3日間で公開される映画は毎年記録的な興行収入を達成しています

ベトナムで2018年のテトに公開された映画「SIÊU SAO SIÊU NGỐ」

おテト期間中は消費者が自宅で過ごす時間も増えるため、TVの視聴時間も自然に上昇します。ベトナム人のテレビ視聴者にTVCMを見てもらうには最大の機会だと考えられます。

一方、ベトナムでは3日以上の連休が珍しいため、海外旅行をしたい人はテトを活かさなければなりません。実際に、2017年のテト期間中の海外ツアーの購入率は前年より60%を増加しているというデータもあるので、旅行会社にとっても外せないビジネスチャンスです。

(参考:https://vov.vn/du-lich/xu-huong-du-lich-tet-nguyen-dan-2018-721828.vov)

テト(旧正月)はただの休日じゃない

数千年以上あるテトの歴史は、すでにベトナム文化のかけがえのない一部分として定着しています。そのため、この祝日がなくなったら、国の文化的アイデンティティがなくなるように考える人も多いのです。

故郷から遠い場所で働いていて、一年間故郷へ戻れない人たちにとって、テトは家族と過ごせる唯一の機会です。

家族のみんなと一緒に、旧年の不運を追い出すため家を掃除して桃の花で飾ったり、テトに欠かせない縁起物の伝統食Bánh Chưng(バイン・チュン)を作ったり、子どもにお年玉をあげたりするのはベトナム人の人々にとって大切で意味深い習慣です。

また、テトになると国全体がお祭りムードに突入し、街にもかなり大掛かりなデコレーションが登場します。特に大晦日の夜にはベトナム全国で打ち上げ花火が行われ、盛大に祝福します。

テト期間中にベトナム旅行に行く外国人から見れば、ベトナムの文化に触れ、テトの雰囲気に触れるチャンスでしょう。

テトはバイクも少なく、静かなベトナムという珍しい体験ができるし、仏教国ではないベトナムで、1日の早朝から大勢の人がお寺の参拝やお寺で行う祭りなどに行くので、仏教の強い影響を一番感じることができるのは、テト期間中だけなのです。

まとめ

ベトナム語では「Vui như Tết」(テトが来たように楽しい)という言葉があるくらい、テトはベトナム人にとってとても大事なものなのです。

日本と違ってベトナムの学校は冬休みや春休みがないため、テトは学生たちのストレスを解放できる貴重な時期です。社会人にとっても、元気に働き続けるためには頭を切り換えるために休みを取るのも大事ですよね。

なぜなら、年末に上手にリフレッシュするからこそ、年明けから今までやれなかったことを頑張ろうと思えるからです。

私も来年からはクリスクのホーチミン支店で働くことになりますので、しっかり働いて成果を出していけるように頑張ります!

(編集:きたざわあいこ)

※本文内で引用されている資料・データ、登場する人物の所属名・役職名などは掲載当時のものです。

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この記事を書いたのは

クリスク・ベトナム マネージャー
東京大学留学後、ベトナム大手IT企業で仕様書の翻訳や通訳を担当。クリスク・ベトナムで広告運用・インフルエンサーマーケティング・マーケットリサーチなどのデジタルマーケティング支援に携わるほか、ベトナム大手出版社でマンガ、小説のベトナム語翻訳も手掛ける。趣味は映画鑑賞、コンサート鑑賞、山登り。

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