皆さんこんにちは!
クリスク・マレーシアのヌルルです。
パンデミックが始まり、マレーシアから日本への渡航に制限がかかるようになってからちょうど2年が経ちました。
海外渡航ができないため、各国からインフルエンサーを呼んで観光情報を発信してもらうことは難しい時期が続きましたが、現在状況は徐々に改善してきています。
例えば、インドネシア政府は2022年2月にシンガポール国内のメディアと旅行会社を招待し、観光プロモーションを再開しています。
また、世界各地でも、海外メディアを自国に招待する観光プロモーションが少しずつ再開すると筆者は予想しています。
そこで今回は、インフルエンサーやメディアを自国に招待する観光プロモーション「FAM(ファム)トリップ」を行う際の注意事項をご紹介します。
FAMトリップ= Familiarization Trip (直訳:「慣れ親しませる」+「旅行」)
つまり、FAMトリップとは、プロモーションをしたいターゲット国のインフルエンサーやメディア、旅行会社をお招きして「現地を実際に体験してもらう」こと、およびそのツアーを指します。
他にもFAMツアー、モニターツアー、招請ツアーと言うこともあります。
なお、近年ではインフルエンサーを招待することは一般的となっています。
インフルエンサーを招請する際の注意事項を、ステップごとに紹介していきます。
まずはプロモーションをしたいコンテンツや観光素材を洗い出し、どのように発信したいかを事前にしっかりとまとめておく必要があります。
例えば魅力的な写真と投稿文で魅力を伝えてほしい、動画でVlog風にして旅程を伝えてほしいなど、明確な投稿スタイルの希望を提示することにより、そのスタイルに合ったインフルエンサーを提案してもらえます。
なお、インフルエンサーの投稿に合わせた広告出稿をお考えの方もいるかと思いますが、その際は写真よりも臨場感を味わえる動画投稿の活用もおすすめです。
以前には、情報量が多く訴求力も高い写真投稿と掛け合わせた施策をおすすめされることが多かったかもしれませんが、YouTubeやIGリール、TikTokなど人気のプラットフォームの増加など、状況が変わっている点に注意が必要です。
なお、最終的にターゲット国に何の情報をどう届けたいか、そのためにはどのように発信すべきかをまず明確にして、そのスタイルに合ったインフルエンサーを選定することが、プロジェクトをスムーズに行うコツです!
インフルエンサーを選択する際、フォロワー数はもちろん大切な指標ですが、過去の投稿やプロモーション事例もしっかりと見るようにしましょう。
過去の投稿をイメージとして挙げることで、双方の認識合わせができ、FAMトリップの後に「お願いしていたものと違う!」となることを避けられます。
また、狙ったターゲット層に確実に情報を届けるため、可能な限りフォロワーの属性を共有してもらうのも重要です。
発信内容や配信媒体となるSNSが決まり、インフルエンサーの選定を終えたあとは実際の旅程決めや手配が始まります。
その際に注意しておきたいことをまとめました。
興味を持たれる観光コンテンツは国によって異なります。ターゲット国にあった旅程を組みましょう。
アレルギーや宗教上の理由などで食事制限があるかを事前に確認しておきましょう。
一度に数名のインフルエンサーを招請する場合があるでしょう。
ただ、媒体ごとに注意すべきこと(この後に詳しくご紹介します)も撮影の所要時間も異なるため、可能な限り投稿してもらいたいソーシャルメディア毎にFAMトリップをアレンジすることをおすすめします!
選定したインフルエンサーの良さが最大限に発揮できるよう、双方で事前にしっかりと固めておきましょう。
投稿前の内容チェックは原則として事実確認にとどめ、修正箇所は一度にまとめて連絡しましょう。特に動画はBGMに合わせて動画素材を当てはめているので、何度も編集するのはとても大変です。
FAMトリップの前に投稿日を決めておきましょう。一番視聴される曜日や時間をインフルエンサーは知っているので、アドバイスをもらいながら調整しましょう。
また、投稿日から逆算してドラフトの提出日を設けると、FAMトリップ後のスケジュールがスムーズにいきます。
前段でも少し触れた通り、SNSといってもサービスごとに特徴やユーザーの好み、インフルエンサーのこだわり方も変わってきます。
よく対象SNSとなる、YouTubeとInstagram、そして最近注目されがちなTikTokについて注意点を説明します。
YouTuberを招請するFAMトリップの注意事項は「同行者がいる」ということです。もちろん一人で撮影をしているYouTuberもいますが、大抵のYouTuberはビデオグラファーの同行を希望します。予算などは同行者の分も想定しておきましょう。
YouTuberそれぞれが自身の動画のスタイルにこだわりを持っており、中にはシネマティックにかっこよく撮影をしたいという人もいます。その場合、数分の動画の撮影に何日も費やす場合があります。スケジュールは十分に余裕を持たせておきましょう。
筆者が参加したマレーシア政府観光局主催のFAMトリップに招請されていたAki from Japanさんの場合、この7分の動画の撮影に6日間もの時間を掛けています。その甲斐もあり、動画はYouTuber個人の枠を超えたプロフェッショナルな仕上がりとなりました。結果的に、主催者も大満足となったプロジェクトでした。
写真を投稿するインフルエンサーと比べて、動画を撮るインフルエンサーはカメラ以外にも照明、マイクなどたくさんの機材を持って行きます。その為、フライトチケットを購入する際の荷物重量や旅行中の移動(特に電車移動の場合!)など、インフルエンサーにストレスがかからない準備が必要です。
写真投稿を得意とするインスタグラマーは、動画内で情報を伝えられるYouTuberと違い、フィード投稿をする際の投稿文までがコンテンツになります。どこまで細かく情報を投稿文に書いてほしいか、ハッシュタグやメンションの指定、PR記事であることの記載など、事前の打ち合わせがとても重要です。
また、FAMトリップ中に、「ここは必ず書いてほしいから写真もしっかり撮ってね」と都度リマインドすることも大切です。
筆者がFAMトリップに同行した際に実際に体験した事ですが、あるマレーシア人女性インスタグラマーは、まるで何日も日本を旅行しているかのように見せたいと、一日に何回も着替えていました。
一見、対応が面倒だと感じられますが、むしろ数多く投稿してもらえると考えることもできます。着替えはお手洗いで充分可能なので、少し時間に余裕を持たせた旅程を組むと良いです。
インスタグラマーのFAMトリップでは、自国からの同行者を伴わないことが多いです。その場合、ツアーの主催者やガイドさんによる撮影のヘルプが必要となる場合があります。
カメラのセッティングや撮影アングルはインフルエンサーがアドバイスをしてくれるので、快く引き受けてあげましょう!
元々は1分以内のショートムービーを投稿するプラットフォームであったTikTokですが、昨年からは3分、今年からは10分と徐々に投稿できる動画の長さが増しています。
TikTokerによっては「離脱率が高い」「そもそも自分のスタイルではない」と長い動画を好まない人もいるので、FAMトリップ実施前にどの長さの動画を投稿してほしいかの認識を合わせることはとても重要なポイントです。
まだまだ若い人向けというイメージが強いTikTokであるため、Instagramなど他のソーシャルメディアでもコンテンツを投稿してもらうこともオプションとして検討しておくと良いでしょう。
自分の好きなインフルエンサーがどのように日本を旅しているか、そしてインフルエンサーのおすすめの場所など、インフルエンサー本人の体験を通して多くのフォロワーが日本旅行を疑似体験できるFAMトリップ。
観光業では、まだまだ直近の需要が見通せないため、プロモーションの予算は抑えられた状況が続いているかもしれません。
しかし、これからの観光業の盛り返しを見越して、効果的な情報発信ができるFAMトリップを企画してみてはいかがでしょうか。
今回はたくさんの注意事項をご紹介しましたが、投稿を見て「あれ、違うな」とすれ違いが起こることのない、有効なFAMトリップを実施できるようクリスクもお手伝いさせていただければ嬉しいです!是非お気軽にお問い合わせください。
参考)
Undang Media & Travel Agent Singapura, Pemerintah Evaluasi Travel Bubble
▼クリスクスタッフによるFAMトリップ参加レポートはこちら
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(執筆:Nurul Asyikin 編集:クリスク海外事業部)