こんにちは! クリスク・ベトナムのリエンです。
音声で操作できる家電や、AIアシスタンスも含めた音声関連テクノロジーが広がってきています。Siri、Alexa、Googleマップの音声ナビなど、音声アシストを利用したことがある人も多いかもしれません。
一方で、インターネット上では音声メディアや音声コンテンツが盛り上がってきていることをご存知でしょうか?
音声配信メディアあるいは音声メディアとは、文字通り、インターネットを介して音声コンテンツを配信するデジタルメディアを指します(以降、音声メディア)。こういった音声メディアを配信するプラットフォームにより、音声での発信は一部の有名人だけのものではなくなりました。
例えば、2021年初頭に話題になった「Clubhouse(クラブハウス)」ブームは記憶に新しいのではないでしょうか。
このようなプラットフォームはその後も続々と誕生しており、音声に特化したメディアがメディアの一種として一定の地位を築きつつあります。
筆者は、音声メディアは将来、音声配信プラットフォーム・広告代理店・配信者マネジメントなどからなる一大市場に成長する可能性もあると考えています。
東南アジア各国の音声メディアの現状
ここまで読んで、本当に音声メディアは一大市場になるのか?と思われた方もいるかもしれません。
実際、日本ではClubhouseブームがかなり早いうちに沈静化してしまったように、あまり音声メディアは普及していません。
しかし、東南アジアではかなり多くの人々が音声メディアを日常的に利用しているのです。
東南アジアのオーディオブック利用率比較
オーディオブックとは、本や小説などの書籍を朗読して収めた音声コンテンツです。
国によって差があるものの、ベトナムやタイでのオーディオブックの利用率は日本の約2倍です。
東南アジアのポッドキャスト利用率比較
ポッドキャストは、日本以外の国では2〜3人に1人が「月に1度以上聴くもの」と回答しています。そして、日本を含むほとんどの国で微増〜増加している傾向が見られます。
このように、日本で生活しているとわかりにくいかも知れませんが、東南アジアでは音声メディアが日本よりはるかに一般的になっていることがわかります。
▼東南アジアでのPodcastの利用状況については、こちらの記事もご参照ください。
Podcastが世界で人気上昇!音声メディアの可能性に要注目
音声メディアが人気な理由
なぜ音声メディアは近年人気を集めているのでしょうか。その理由として、音声メディアの特徴を挙げてみましょう。
「ながら聴き」が可能
従来の写真や動画の配信サービスと違い、音声メディアは画面を注視・操作する必要があまりありません。他の作業をしながらどこでも視聴ができ、効率的に情報を得られるようになりました。
「ながら聴き」という特徴は、音声メディアの最大のメリットと言えるでしょう。
配信者ごとの個性を楽しめる
音声には「本人性」があり、配信者本人の声質や個性が表れます。コンテンツが目に見えないからこそ、視聴者が想像力を発揮して楽しむ余地もあります。
技術面での参入障壁が低い
音声だけのコンテンツを配信する場合、デザイン力や写真・動画編集の技術力は求められません。動画に比べて安価で手軽に制作できます。
顔出しの必要がない
Facebookのような実名制のSNSですら顔を出すことが苦手な人でも、アイコンタクト、背景、自分の仕草、衣装を心配せず気楽に発信できます。
音声メディアの種類と最近の傾向
音声メディアといっても、従来型である『視聴するだけ』のメディアもあれば、最近では配信している会話に誰でも参加でき、自分でコンテンツを作成して配信したりできるものも増えてきています。
ユーザーは視聴するだけ |
誰でも音声配信できる |
音声・音楽配信サービス |
ポッドキャスト |
・オンラインラジオ、Voicy ・Spotify、Apple Music、Amazon Music |
・Apple Podcast、Google Podcast ・Spotify |
オーディオブック |
音声SNS |
・Audible、LibriVox |
・Clubhouse、Live Audio Rooms、Twitterスペース ・Wacha |
上記の分類で、特に聞き慣れないのは「音声SNS」ではないでしょうか。以下で少し説明します。
音声SNSとは
音声SNS(Social Audio、もしくはVoice-based Social Mediaとも言う)は音声を媒体としたSNSサービスの総称で、従来のソーシャルメディアのインタラクティブ性と、音声配信サービスの特徴を統合した新しいプラットフォームです。
ラジオやポッドキャストを聞く習慣がある人のリアルタイムコミュニケーション需要を満たすために生まれた音声版SNSだと考えればわかりやすいでしょうか。
音声SNSでは、ユーザーはテキストや写真・動画の代わりに、自分の声で感想、意見を直接伝えます。そのためより深いコミュニケーションを取ることができます。
そして、コンテンツ作成も簡単で、台本なしの会話に信憑性と魅力があると言われています。
▼近年注目されるようになった音声SNS
プラットフォーム |
開発会社 |
リリース |
開発国 |
ユーザー数(2022年3月) |
Clubhouse |
Alpha Exploration Co. |
2020年3月 |
アメリカ |
1,000万人/週 |
Spaces |
Twitter |
2020年11月 |
アメリカ |
不明 |
Live Audio Rooms |
Facebook |
2021年6月 |
アメリカ |
不明 |
2021月6月、Apple Podcastが番組の有料サブスクリプションを開始したのと同時期にFacebookがはじめたのが、独自のポッドキャストサービスとライブ配信サービス「Live Audio Rooms」です。
また、LinkedInは新機能として「LinkedIn Audio Rooms」のβ版を2022年1月にリリースしました。
他にも、多くのユーザーを抱える既存のサービス各社もClubhouseに対抗するSNSアプリの開発に乗り出しています。
音声メディアが、今後の大きな可能性を秘めている分野であるということが伝わりましたか?
実際にどこまで広がっていくかはさておき、ここまで紹介してきた各社の動きを、特に日本以外でのビジネスに関わる方は把握しておいて損はないでしょう。
次回は、ベトナムに絞った音声メディアの状況を紹介します。ぜひまたご覧ください!
⇒ 次回記事:マーケティング活用も! ベトナムで伸びる音声メディア市場はこれだ
参考)
Clubhouse – statistics & facts | Statista
LinkedIn is launching interactive, Clubhouse-style audio events this month in beta; a video version will come this spring – TechCrunch
(執筆:Vu Thi Phuong Lien 編集:クリスク海外事業部)