こんにちは、クリスク・ジャパンのリュウです。
インバウンド事業に関わる方は、コロナ禍のため、これまでのように海外インフルエンサーを利用したインバウンドプロモーション施策を実施することは難しくなっていると思います。
そんな中注目されているのが、海外に向けに日本の最新情報を発信することができる在日外国人インフルエンサーです。
しかし、在日外国人インフルエンサーを起用する際には、海外在住の外国人インフルエンサーと同じ扱いをしてはいけないということをご存知でしょうか?
今回は在日外国人インフルエンサーを起用する際の注意点や、施策を成功に導くポイントをお伝えしたいと思います。
前回紹介した「在日外国人インフルエンサー起用すべき理由とメリット」についても合わせてご覧ください!
【インバウンド施策】在日外国人インフルエンサーを起用すべき理由とメリット
インフルエンサーはどうやって選ぶ?人選のポイント
在日外国人は基本的に日本居住者のため、海外在住の外国人インフルエンサーと同じ扱いをしてはいけません。ここでは候補者をピックアップする際に注意すべきポイントを簡単に紹介します。
①在留ビザ資格の確認
インフルエンサー活動の業務依頼を受け報酬が発生する場合、それは労働報酬となります。そのため就労できるビザ資格が必要ですが、ビザ資格によってそれぞれ制限があるためビザの確認は必須です。
■ 就労ビザ
一般的に就労ビザを持っている人は日本で働けますので、インフルエンサー活動は可能です。ただし、ビザ資格で定められた活動以外は禁止されています。
現在、就労ビザの在留資格には「技術・人文知識・国際業務」「技能実習」「経営・管理」など17種類があります。インフルエンサー活動の業務内容が、在留資格に合致しない場合は、入管局へ「資格外活動許可」の申請を行なう必要があります。
なお、インフルエンサー活動を副業としている場合は、本業の勤め先で、契約上副業が認められているか確認が必要です。
■ 非就労ビザ(留学、家族滞在)
就労ビザ以外でインフルエンサーとして活動している外国人は、留学ビザと家族滞在ビザを持つ人が多いです。
- 留学ビザ:専門学校、日本語学校、大学、大学院などの学生に認められる
- 家族滞在:就労ビザおよび留学ビザを持つ外国人の家族(扶養を受ける配偶者・子)に認められる
いずれも「資格外活動許可」を申請しないと、インフルエンサー活動による業務報酬を受けられません。
また許可があっても就労時間は週28時間以内という制限がありますので、業務委託の際は注意が必要です。
■ 特定活動(ワーキング・ホリデーなど)
特定活動にはさまざまなものがありますが、なかでも、ワーキング・ホリデー制度(通称ワーホリ)を利用し、日本生活を体験しながらインフルエンサー活動を行っている方も多いです。
ワーホリは、一生に一回、一年間だけの就労期間が認められるものです。ワーホリ利用者に特別な就労制限はありませんので、インフルエンサー活動で報酬を得ることも、もちろん法的に問題はありません。
なお、上記在留資格以外に、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、これらの在留資格を持つ方も特に就労制限はありませんので、日本人インフルエンサーやフリーランスと同じ扱いでも問題ありません。
参考)日本での活動内容に応じた資料【在留資格変更許可申請・在留資格取得許可申請】 | 出入国在留管理庁
参考)ワーキング・ホリデー制度|外務省
参考)法務省:資格外活動許可申請
②ローカルでの影響力・評価の確認
在日インフルエンサーのフォロワーは在日外国人だけとは限りません。一般的には母国在住のフォロワーが多い人がほとんどです。
そのため在日外国人インフルエンサーのフォロワーには、日本在住経験もなく、日本のことをあまり知らない人も多くいます。そうしたフォロワーに興味を持ってもらうために、自分の日本での経験を誇大に表現し、間違った情報を伝えてしまう人もいます。
そういったケースは極めて少ないですが、プロモーションを成功させるためには、在日外国人コミュニティ内だけの影響力・評価だけではなく、母国での評価もチェックし、信頼できるインフルエンサーを選ぶことが大切です。
また、競争が激化しているインフルエンサー業界では、フォロワーといいねを購入し、水増しする行為や、盗作行為などの話も時々耳にします。そのため、信用度を事前に調査、確認することも必要です。
■ インフルエンサーの影響度・信用度の事前調査方法
方法としては、現地のトレンド調査サイトの確認、候補者のSNS上でのコメント内容確認、ニュース、メディアに取り上げられる頻度の確認などがあります。
これらを行なうためには、現地語での情報収集が欠かせず、現地語を理解できるスタッフ、またSNSやメディアなどの知識も必要となります。
③マイクロインフルエンサーにも注目
インフルエンサーのフォロワー数は多ければ多いほど良い。
こんな考えを持っている人はかなり多いと思います。
確かに100万人以上のフォロワーがいるインフルエンサーの影響力と拡散力は強力ですが、場合によってエンゲージメント率が低くなることがあります。
一方、10万〜100万人のフォロワーを持つインフルエンサー(「マイクロインフルエンサー」と呼ぶ)のなかには、ニッチですが、得意分野を持っている人が多くいます。
在日インフルエンサーの場合、マイクロインフルエンサーが圧倒的に多いです。日本への引越し、留学、就職、旅行、異国恋愛・結婚などに特化し、そのジャンルに対しての興味・関心度の高いユーザーに役立つ情報発信をしています。そのため、フォロワーとのエンゲージメント率も高くなります。
運用の成功ポイントとは
在日外国人インフルエンサーの力を借りて、うまくプロモーションを実施したいのなら、以下のポイントを頭に入れておきたいです。
①フレキシブルなスケジュールを提供
在日外国人インフルエンサーとして活動している方は、本業を別に持ちながら副業として活動している方がほとんどです。
そのため、例えば普段会社員として働いている方に平日の出張取材をしてもらうことは難しく、学生であれば、試験などに追われる時期があるので、タイトなスケジュールに対応できない場合もあります。
そのため、各インフルエンサーの状況にあわせ、柔軟なスケジューリングをすることが重要です。
②実績豊富な代理店を活用する
在日インフルエンサーの人数は、海外インフルエンサーの人数より少ないですが、それでもプロモーションしたいブランド、商品に最適な候補者を選出するのは大変です。
前述したようなビザの確認や現地での評判調査、日本語の通じない在日外国人への対応など、すべてを自社で行なうことは不可能ではありませんが、難しかったり時間がかかってしまう可能性が高いです。
実績のある代理店は、多くの経験があるので、トラブルがあった際にもすぐに対応でき、事前調査でも頼れます。
また、各インフルエンサーのスタイル、得意な分野やコンテンツを把握しているので、ブランドや商品に対して最適なインフルエンサー施策を作成してもらうことができるでしょう。
まとめ
在日外国人市場及び海外市場にリーチできる在日インフルエンサーは、コロナ禍の今、海外との架け橋として重要な存在と考えられます。
そして、コロナ収束後も日本の情報を発信し続け、訪日市場の大きな力となるでしょう。この今だからこそ、在日外国人を起用したインバウンド施策を検討してみてはいかがでしょうか?
(執筆:リュウ ズーイー / 編集:ヤマシタノリヒサ)