日本企業にもチャンスあり！？マレーシアの重要イベント「ハリラヤ」マーケティングのコツ
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イスラム教徒が一年で最も重要視する、ラマダン明けのお祝い「ハリラヤ」（または「イード・アル＝フィトル」）。今回は、市場も大盛況となるこの時期のマーケティング戦略について、国民の87％がイスラム教徒となるインドネシアスタッフへのインタビューを敢行しました。
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イスラム教徒にとって一年で最も重要なお祭りとされる「ハリラヤ」（または「イード・アル＝フィトル」）は、1カ月にわたるラマダン（断食）明けにやってきます。ハリラヤの時期には休暇をとり、実家で家族や親戚と集まってお祝いをしたり、買い物に出かけたり、子どもにお年玉をあげたりと、日本のお正月のように過ごすのが通例。2024年のハリラヤは4月10日で、多くのイスラム教徒がこのハリラヤを大切な人たちと過ごしました。
日本でも年末年始に向けてテレビコマーシャルや店頭、Web広告が盛り上がり、各企業が「お正月商戦」「年末年始商戦」を繰り広げていますが、これと同じようにイスラム教徒の多い国ではラマダンの頃から「ハリラヤ商戦」が始まります。
前回は、マレーシアにおけるハリラヤ商戦の様子をお伝えしましたが、国民の87％がイスラム教徒というインドネシアでは、どのようなマーケティング戦略が見られるのでしょうか。
クリスク・インドネシアスタッフのゲンとタニア、ワルダに聞いてみました。
インドネシア人はハリラヤをどう過ごす？
クリスク
前回、クリスク・マレーシアスタッフのバイにハリラヤの様子を聞いて、市場の盛り上がりがよくわかったのですが、インドネシアについても詳しく聞きたいと思います。
まず、ハリラヤではみなさんどのように過ごしているのでしょうか。
ゲン
マレーシアと同じように、ハリラヤでは新しく服を買って正装して、家族と一緒にお祝いをするのが一般的です。
タニア
マレーシアでは家族全員でおそろいの色の服を着ると言っていましたが、インドネシアでは家族で色をそろえるのは4〜5年前から始まった最近の流行ですね。新しい服を着るのは昔からです。
ワルダ
新しく買った服は、ハリラヤ以外では冠婚葬祭などで着ます。
ちなみに私の家族は特に同じ色の服は着ませんでした……我が家だけかもしれませんが（笑）。
ゲン
おそろいの色の服は写真を撮ったときにSNS映えするので、流行ったんじゃないかなと思います。
ハリラヤでは、日本のお正月のように実家に集まって、近所の人に「今年もよろしく」というような挨拶をしますね。ラマダン明けには会社からボーナスも出るので、それを帰省費用にしたり、子どもたちへのお年玉にしたりします。僕もお年玉をもらいましたよ。
クリスク
大人になってもお年玉がもらえるんですか？
タニア
私もお年玉をもらいましたよ。でも、自分も子どもたちにお年玉をあげました。
ゲン
自分より上の親族からはお年玉をもらって、子どもや甥や姪がいれば自分もあげるんです。
クリスク
うらやましいですね！（笑）
日本ではお正月におせち料理を食べますが、ハリラヤではどのようなものを食べるんですか？
ゲン
「クトゥパ」という、ヤシの葉で米を巻いて蒸したちまきのような料理が定番です。それとカレーのような料理を合わせて食べます。
ワルダ
それからクッキーを買ったり、作ったりもしますね。
私は祖父母の家に行くのが楽しみで、たくさんクッキーを持って行きますよ。祖父母の家に親戚が集まるんです。
クリスク
お正月と同じように、みんなでおじいちゃんおばあちゃんの家に集まるんですね。
ゲン
僕も去年は祖父母の家に行きましたが、今年は行かなかったですね。祖父母の家は遠くて飛行機代も高いので、5年に1度くらいしか会えないんですよ。代わりに、いとこや叔母たちで僕の実家や、叔母の家に集まることもあります。
今年は1週間の休暇をとって、家族とPIK（パンタイ・インダ・カプック）という北ジャカルタのおしゃれな商業スポットに行きました。
タニア
私は結婚したので、自分の実家ではなく夫の実家に集まりました。私の親族はみんなジャカルタにいるので、以前はジャカルタから出たことがなかったのですが、今年はハリラヤで夫の実家に行くためにジャカルタから出ました。
夫の親族とは年に2〜3回しか会えませんが、ハリラヤはいい機会になっていますね。
クリスク
結婚した人にとっては、新しい親族と仲良くなれるチャンスにもなっているんですね。
ハリラヤって、若年層にとっても重要なイベントなのでしょうか。ここ数年でハリラヤの過ごし方に変化があったりしますか？
ゲン
昔から特に変化は無いですね。
クリスク
なるほど。正直なところ、インドネシア人にとってハリラヤって楽しいイベントですか？実は内心、面倒だったりします？
ゲン
ちゃんと楽しいイベントですよ！（笑）ラマダン明けにみんなで集まってねぎらい合うものなので。
クリスク
芸能人やインフルエンサー（KOL）のハリラヤの過ごし方に影響されることはあるのでしょうか。
日本は年末年始に海外旅行に行く芸能人が多いですが、それを見て自分も行こう！と思うことはありますか？
ゲン
基本的には家族と家で過ごします。海外旅行は無いです……
タニア
スイスへ旅行した有名女優さんはいました！でも、一般的な過ごし方では無いのは確かですね。
ワルダ
普通は帰省しますからね。
クリスク
なるほど。日本へのインバウンド需要は期待できませんね（笑）。
ハリラヤは老若男女問わず大事にされている国民的な行事だと、よくわかりました！
服、お菓子、子どもへのプレゼントetc……ハリラヤで売れるもの
クリスク
では、みなさんハリラヤのときにはどのような買い物をするのでしょうか？
タニア
まずはハリラヤのための服ですね。白い服を買うことが多いですが、今年はミントグリーンも流行っていました。
ハリラヤに向けて新しいコスメを買う人もいます。
ワルダ
ハリラヤでは家でクッキーや食事をつくりますが、スーパーマーケットやオンラインでお菓子の詰め合わせを買う人も多いです。家族だけでなく友達や近所の人、また大手企業では従業員に配ったりもします。なので、たくさん買いこむ人も多いですよ。
各ブランドが趣向を凝らした詰め合わせを販売しているので、インフルエンサー（KOL）が知人への贈り物をSNSに上げたりしていますね。
クリスク
日本のお菓子メーカーにはチャンスはありそうですか？
ゲン
ハリラヤはお菓子メーカーの商戦期ではあるんですが、日本のお菓子メーカーが参入するとなると、値段が高すぎてしまうかもしれませんね。
あとは、子どもにおもちゃを買ったり、子どもたちと楽しむ花火を用意したりします。「ペタサン（petasan）」といって、爆竹のように音がなる花火をする文化があるんです。
クリスク
お年玉袋はどうしているんですか？
マレーシアのバイは、お店で買い物をするとハリラヤ用のお年玉袋がもらえて、そこにブランドや企業のロゴなどが入っていると言っていましたが。
ゲン
インドネシアでは自分で買いますね。お年玉袋は自分でいいデザインを選んで買います。
ワルダ
ハリラヤの時期には、かわいいデザインのお年玉袋がたくさん売られていますね。
クリスク
マレーシアとは違って、販促ツールを兼ねてはいないんですね。
昨年定着したライブコマースがハリラヤでも重要に
クリスク
ハリラヤならではのプロモーションとしてはどのようなものがありますか？
ワルダ
たくさんのお店がセールを開催しています。ハリラヤ限定商品を用意しているショップもありますね。
ゲン
この時期はさまざまな商品パッケージや広告が、イスラム教を象徴する色とされる緑色や、モスクのデザインになっていきます。フォントもアラビック寄りになりますし、クトゥパもアイコンとして使われがちですね。
クリスク
ワルダ
あとは、印象的なストーリーの動画プロモーションも多いですね。
タニア
普段のCMよりも予算をかけた映画のような豪華CMや、親子の絆を描くようなストーリーをよく見かけます。
- https://www.youtube.com/watch?v=32a-orSCrw4（映画並みのクオリティ）
- https://www.youtube.com/watch?v=Bfn0YrjqMx0 （1.4億pv）
ゲン
そういった動画は話題にもなりますし、よくシェアもされていますね。
ワルダ
数年前には、デパートによるコメディ系のCMが話題になっていました。
クリスク
動画でのプロモーションが目立っているんですね。
ワルダ
今はオンラインショッピングが普及していて、ハリラヤでも服やお菓子をオンラインで買う人が多いですが、去年からはTikTokやShopeeなどでのライブコマースが流行しています。
- https://live.shopee.co.id/share?from=live&session=67946804&viewer=13#copy_link
（ヒジャブショップによるライブコマース動画のアーカイブ※現在は公開終了）
タニア
静止画よりも商品の詳細がわかりやすいですし、動画を見た人だけ送料無料になるキャンペーンもあります。
ゲン
ライブコマース中にチャットで質問をして答えてもらうこともできるので、便利ですよ。
タニア
あとは、インドネシアではGoPayという決済アプリがよく使われていますが、今年のハリラヤではGoPayを使って家族や友人に送金をするとiPhone15が当たるキャンペーンを展開していました。
https://gopay.co.id/blog/thr-online
クリスク
お年玉も現金ではなく、電子マネーで渡す時代になってきたということですね。
タニア
あらかじめお年玉を用意していなくてもすぐ渡せますし、会えない家族にも送れるので便利ですよね。
ゲン
僕に日本からお年玉を送ってくれてもいいんですよ！（笑）
クリスク
考えておきます（笑）。
まとめ
インドネシアでも、家族や大切な人たちと過ごす大切なイベントとなっているハリラヤ。
ハリラヤでのプロモーションでは、マレーシアと同様に動画やSNSでの認知獲得が重要となっているようです。そしてインドネシアにもライブコマースの波が到来し、オンラインプロモーションの重要性はますます高まっています。
クリスクではインドネシア国内におけるプロモーション支援も行っています。ぜひお気軽にお声がけください！
（編集協力：大西 桃子）
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