皆さん、こんにちは! クリスク・インドネシアのタニアです。
現在、マーケティングでのインフルエンサーの活用が世界中で一般的な選択肢となっています。以前の記事でご紹介した通り、インドネシアでは政府の後押しの元でインフルエンサーマーケティングが広がっており、その波はメガブランドにまで及んでいます。
そこで今回は、インフルエンサーマーケティング全体のトレンドをご紹介します。少し長い文章になりますが、ぜひ、インドネシアでのプロモーション戦略を立てる際の参考にしてください!
YouTube・TikTokなどの動画コンテンツが人気
どのSNSプラットフォームもビジュアルでユーザーを惹きつけることを重視し、動画や写真に注力しています。
シンガポールの調査会社Kepiosがまとめた調査によると、インターネットを使う主な理由が「動画・TV番組・映画を見るため」と答えたユーザーは全世界平均で約50%にのぼりました。
インドネシアも約58%となっているほか、クリスクのスタッフがいる東南アジアの国ではいずれも全世界平均を上回っています。
引用元: Reports ― DataReportal – Global Digital Insights ※各国のデータより抜粋 ※グラフはクリスク再編集
また、インドネシアでの「最も使われたSNSプラットフォーム」の項目では、TikTokが2021年1月の38.7%から大幅に増加し、2022年2月には63.1%に達しました。 YouTubeは2022年に調査対象外とされましたが、2021年時点では93.8%となっており、ほとんどのインドネシア人に愛用されていることが伺えます。
インドネシアで最も使用されているSNSプラットフォーム(2021年) 引用元:Data Reportal Digital 2021
インドネシアで最も使用されているSNSプラットフォーム(2022年) 引用元:Data Reportal Digital 2022
50代の筆者の母でさえ、暇な時間には必ずYouTubeやTikTokを見ています。 動画にハマっている理由を聞くと、「楽しくて面白い」「わかりやすい」「動画には情報がたくさんある」との答えが返ってきました。
データのみならず、筆者の周囲を見てもインドネシア人は動画コンテンツを好むと感じています。それでは、インドネシアでどんな動画コンテンツが人気なのかを見てみましょう!
SNSで人気のある動画コンテンツジャンルは?
インフルエンサーにはそれぞれ得意分野があり、各分野に特化したインフルエンサーを特に「バーティカルインフルエンサー」と呼ぶこともあります。
EC・ブランディング支援事業のAnyMindの調査によると、インドネシアで最もバーティカルインフルエンサーが集まる分野はファッション・ビューティー、エンターテインメント、フード・ドリンクです。 この3つのカテゴリに当てはまる動画は、ほとんどのSNSプラットフォームで見ることが出来ます。
各プラットフォームで人気の動画も、上記の3分野に当てはまるものがほとんどです。
TikTokの事例
TikTokから、インドネシアで2021年に流行した動画の一覧が発表されています。 世界で大ヒットしたイカゲームのミームシリーズ、ユニークなレシピ、食品実験など、さまざまなトレンドがありました。
インドネシアのインフルエンサーSisca Kohlは、マクドナルドのBTS Mealを混ぜ合わせてアイスクリームを作りました。この動画の再生回数は2週間弱で約2,000万回に達しています。
また、BoBocuというクリエイターが、韓国ドラマ「True Beauty」のキャラクターであるハン・ソジュンに似たスタイルで変身する動画をアップロードしました。
ドラマが当時人気だったため、BoBocuは多くの視聴者の注目を集めたことから、BoBocuはテレビ番組にも出演しました。
YouTubeの事例
エンターテインメントは、インドネシア人がYouTubeを見るときに真っ先に探すカテゴリです。 現在、Ria RicisとAtta Halilintarはインドネシアで最も多くのチャンネル登録者を抱えるYouTuberであり、どちらもvlog、日常生活、面白いものを頻繁に配信しています。
Ricis Officialというチャンネルを持つRia Ricisには、2,940万人のチャンネル登録者がいます。 最も人気のある動画は、2017年に投稿されたSquishy(スクイーズのおもちゃ)の形をしたクッキーを食べたもので、これまでのところ、1億800万回の再生回数に達しています。
Ria Ricisのバイラルになった動画
次に、2,910万人のチャンネル登録者を持っているYouTuberのAtta Halilintarがいます。 Attaは、有名人の日常、音楽、コメディ、prank(いたずら)コンテンツを頻繁に配信しています。いきなり他人の家を訪ねる「Grebek」などの注目コンテンツもあります。
Attaが普段訪れているのは有名人の家ですが、大統領官邸も訪れ、Jokowi大統領と直接会いました。この動画の再生回数はもうすぐ1,500万回に到達します。
Atta HalilintarがJokowi大統領の邸宅を訪問
eコマースブランドアンバサダーとしてのインフルエンサー
インドネシアの調査会社Katadata Insight Center(KIC)と決済アプリ運営会社FinAccelの共同調査によると、2020年のインドネシアのeコマース取引件数はZ世代(18〜25歳)が36%、ミレニアル世代(26〜35歳)が49%と、圧倒的多数を占めています。
引用元: Pengaruh Artis K-Pop dan Influencer Menggaet Pasar E-Commerce – Analisis Data Katadata ※グラフはクリスク再編集
ミレニアル世代およびZ世代はデジタルに精通しているだけでなく、インフルエンサーを偶像化している傾向もあります。 そのため、eコマースプラットフォームによるインフルエンサーの起用は、ユーザーの注目を引くための強力な戦略と言えるでしょう。
インドネシアの人口構成はミレニアル世代とZ世代を合わせて50%以上を占めるため、当面この傾向は変わらないと推測されます。
著名なeコマースブランドアンバサダー
Tokopediaは2021年1月からBTSとBlackpinkをブランドアンバサダーとして採用しました。 ファンは好きなアイドルグッズを手に入れることができるだけでなく、Tokopediaのライブ機能でインタビューやコンサートなどの独占コンテンツを見ることができます。
Tokopedia誕生日スペシャルのBTSの「Butter」ビデオクリップ ※日本では視聴できない可能性があります
一方、Shopeeは2021年に、国際映画で主演した武道家・俳優のJoe Taslimがブランドアンバサダーになりました。 Shopeeは、11.11 Big Sale TV Showイベントで、韓国のグループNCT 127や、注目を集めていた有名人のカップル、LestyとRizkyBillarなどの有名なアーティストを招待しました。
Shopee 11.11 Big Sale TV Showの広告
インフルエンサーによるポッドキャストが人気
インドネシアでは、ポッドキャストのトレンドもますます盛り上がっています。先述のKepiosがまとめたDigital 2022レポートによると、インドネシアのインターネットユーザーの35.6%が毎週ポッドキャストを聴いています。 この割合は、ブラジル(37%)に次いで世界で2番目に高い数字です。
ポッドキャストを介して、プロモーションをし、フォロワーとのエンゲージメントを高めているのはインフルエンサーに限りません。全国的に知られているアーティストも、ファンとのエンゲージメントを高めるためにポッドキャストを活用しています。
日本でもradikoの台頭によりオーディオメディアが見直されつつありますが、ポッドキャストは、動画よりもリスナーとなじみ深い関係性を築いて影響を与えられる可能性があるため、効果的なマーケティングツールと言えるでしょう。
人気のあるポッドキャストチャンネル
名前:Podkesmas
Instagram フォロワー数:87,000人YouTube フォロワー数:40,700人Spotify
このチャンネルは4人のホストで構成され、コメディコンテンツを配信しています。会話のトピックが軽く、日常生活に関連しているため、このチャンネルは有名になりました。
このチャンネルは、Spotifyの簡易バージョンアプリSpotify Liteで2020年に最もストリーミングされたポッドキャストとしてGlobal Top 5で1位にランクインしました。
名前:Close The Door
Instagram フォロワー数:1,085万人YouTube フォロワー数:1,780万人Spotify
Close The Doorは、有名なプレゼンターでありマジシャンのDeddy Corbuzierのチャンネルです。このポッドキャストは、現在話題になってるニュースやトピックをトークショー形式で紹介しており、ゲストも、有名人から政治家まで幅広く出演しています。
Close The Doorのコンテンツはポッドキャストでも動画形式で配信されているため、視覚的にも楽しめます。
まとめ
インフルエンサーの活用自体は全世界共通のトレンドですが、現地で受け入れられるコンテンツは各国の文化や嗜好によって変わるため、ターゲットの国のトレンドに合わせた施策が必要です。
インドネシア人は、KepiosがまとめたDigital 2022レポートによると、エンターテイメントの中でも特にカジュアルな笑えるコメディ動画を視聴する人の割合が他の国より多いようです。
引用元: Reports ― DataReportal – Global Digital Insights ※各国のデータより抜粋 ※グラフはクリスク再編集
このようなマーケットの事情やトレンドを知ることで、ビジネスのプロモーションはより簡単になります。インフルエンサーと一緒にインドネシアマーケットを攻略したい方は、お気軽にクリスク・インドネシアにご連絡ください!
※文中の再生回数、フォロワー数はいずれも2022年3月4日時点での数字です
参考)2021 influencer marketing report for Indonesia (※登録後にご覧いただけます)“Year on TikTok 2021” Ungkap Tren Konten Sepanjang Tahun dan Prediksi Tahun Mendatang Top 100 YouTubers Channels in Indonesia – Socialblade YouTube Stats | YouTube Statistics Indonesian-Chinese TikTokers blend BTS Meal McNuggets, fries & Coke into soft serve ice cream – Mothership.SG – News from Singapore, Asia and around the world Riset KIC-Kredivo: Konsumen 36-45 Tahun Mulai Gemar Belanja Online – E-commerce Katadata.co.id Digital 2022: Global Overview Report — DataReportal – Global Digital Insights Indonesian podcasts among Spotify Lite’s global top five
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(執筆:Tania Paramita 編集:クリスク海外事業部)