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ベトナムがコロナ収束に成功した対策とは?SNSで話題となった助け合い活動も - クリスク

こんにちは!
クリスク・ベトナムのリエンです。

世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス(COVID-19)ですが、ベトナムでは外国からの渡航者による感染発覚が主で、国内での感染死亡者はゼロ。一旦の収束が見えてきたと考えられています。

引用元: Worldometers

今回の記事では、ベトナムのコロナ封じ込め対策や、SNSで話題となった活動を実際に現地での実感を交えてご紹介いたします。

ベトナムのコロナ対策概要

今回の新型コロナウイルスの発生源である中国と国境を接しているベトナムでは、政府によってさまざまな感染拡大対策が行われました。

まず、国内で初めての感染者が確認された1月23日以降、政府がコロナを国民が戦うべき「敵」として扱いました。そして2月上旬には、情報公開と自己申告で感染の疑いのある場所を絞り込み、少しでも感染の疑いのある者や濃厚接触者を直ちに隔離。過去14日間に中国の滞在歴のある外国人の入国も禁止しました。

2月27日には、米国疾病予防管理センターポリティコはベトナムを「市中感染のリスクがある目的地」のリストから除外。

しかし、3月には外国からの帰国者を中心に感染が広がりはじめたことを受け、入国者全員に隔離を実施しました。隔離の対象となった住民や外国人は、延べで100万人近くに上るということです。

その後、小さな感染者集団が発生したことから、3月31日にはベトナム全土に15日間の社会隔離を実施。早い時期からさまざまな厳格な対策をとってきた結果、4月17日からベトナム・ローカルの感染者が確認されなくなり、5月5日からベトナム全国の休校措置も終了しました。

その結果、人口約9550万人であるベトナムの新型コロナ感染者は、外国人を含めて328人(2020年6月3日時点更新、うち9割以上が回復済み)。そして死者数は現在もゼロ人をキープしています。この数は、ほかのアジア国々と比べて極めて少ない数字です。

こうした一連の対策や、感染者・死亡者数の実績を受けて、米国の政治専門誌ポリティコが発表した「新型コロナ対策を効果的に行っている国ランキング」ではベトナムが世界一に位置づけられています。

引用元: Politico

コロナ禍のベトナム SNSで流行っていた話題

ニュースでは、政府の対策や感染者数、海外渡航者の状況などが主に報じられていたと筆者は感じました。ここではローカルの間で一体どのようなことが話題となっていたのかを紹介したいと思います。

手洗いソングが米国TV番組で紹介される

ベトナム発の新型コロナ予防のための手洗いのソング「Ghen Cô Vy(嫉妬したコロナさん)」が、米国のケーブルテレビ局HBOの「Last Week Tonight with John Oliver」番組で紹介され、「なんて素晴らしい曲なんだ!」と絶賛されました。

これは元々「嫉妬(Ghen)」というヒット曲の替えでアニメーション仕立てにした動画です。

引用元:LastWeekTonight

Quang Dang(クアン・ダン)というベトナム人ダンサーが、このキャッチーな歌と踊りで表現した動画をTiktokに投稿して話題になりました。その後、各SNSで200万回試聴されたこの手洗いダンス動画をきっかけに、TikTokでは「#GhenCoVyChallenge」および「#VuDieuRuaTay(手洗いダンス)」のハッシュタグ付き動画は2.37億再生され、20万人を超えるユーザーが手洗いチャレンジに参加。

また、多くのベトナム芸能人達もこのチャレンジを楽しみました。

他にも、Quang Dangさんのダンス動画がUNICEFのFacebookページでシェアされ、わずか13時間には2万再生、1万件のインタラクション、3300回のシェアを獲得しました。

この動画がきっかけで、正しい手洗いのやり方をダンスで伝える他の動画も登場しました。

コメのATMが登場

コロナの影響により経済活動が厳しく制限されていたベトナムでは、収入が絶たれた貧困世帯に向け、4月6日に無料コメATMがホーチミン市に設置されたことがネットで拡散されました。

このお米を無料で配る機械は、ペダルを1回踏むと3キロのお米が出てくるという仕組みで、新型コロナ禍で困っている貧しい人々にとって大きな助けとなっていました。

このアイディアを発想したのは、ホーチミン市のスマートロック販売会社のCEO Hoàng Tuấn Anh(ホアン・トゥアン・アイン)さんです。1台の製造する費用はおよそ11万6000円~14万円で、設置も運営も完全に私財を投じて行われました。

 Google Trendsによると、「ATM gạo(コメATM)」は2020年の4月上旬から出はじめた言葉で、こうした支援はベトナム全国各地で行われました。山の奥でもコメは無料配布されており、社会的隔離政策が緩和されるまで運営が続けられていました。

この博愛精神を発揮した活動はベトナム国内外に高く評価され、他の国にも適用されたそうです。

0ベトナムドン(無料)の幸福スーパー

コメのATM以外にも、他の必需品を貧しい人々へ贈るための支援運動も広がり、ソーシャルメディアで注目を浴びました。それは厳しい生活が強いられている人々に任意で選択した5商品を無料で提供するスーパーマーケットです。スーパーにあるのは、インスタント麺、卵、肉、調味料、ティッシュペーパー、歯ブラシ、歯磨き粉がなどの飲食物や生活必需品です。

3月の上旬に登場したこのスーパーの取り組みは、次々とベトナム国内各地に広がっていきました。陳列棚の商品は全て無料で、1ヶ月間運営するための仕入れや運営費は、完全に民間が負担したと言います。

この活動によって、多くの収入が激減・無収入となった人が食品を気楽に手に入れることができました。他にも、お年寄りの方や身体が不自由な方にも優しいスペースもできたそうです。

まとめ

ベトナムでも上記のような良い活動だけではなく、日本や他の多くの国で起きてしまったように、海外から帰国して隔離された人や感染の疑いのある人に対する差別が起きました。

また、「少ない感染者数や死者数ゼロという政府が発表した情報は、本当に信じてもよいのか?」といった不安なニュースも広がりました。

また、ここで紹介した話題や活動についても、ネガティブな意見がないわけではありません。しかし、このような活動や思いやりの支援を通してベトナム人の助け合い精神と優しさが見えるようになったことには違いないでしょう。

引用元: ベトナム保健省

保健省の6月5日の発表によると、ベトナム国内における新型コロナウイルスの市中感染は50日間連続でゼロ人となりました。これまでの累計感染者は328人、うち死者はゼロ人で治療中の患者は残り26人となっているようです。

ベトナムは、新型コロナウイルスに対する成果を積極的にアピールし、海外からの投資や旅行者を回復することで国内経済の立て直しが加速できるのではないでしょうか。

また、ベトナム保健省が感染防止のために、ベトナム発のSNS・チャットアプリZaloを利用してコロナ情報を発信しているという事実からも、SNSが多くの国民への情報発信ツールとして無視できない存在になった証明だと言えるでしょう。

ベトナム保健省によるZaloタイムラインへの投稿

(編集:きたざわあいこ)