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1億ユーザーが利用するベトナムのSNS・チャットアプリ「Zalo」を徹底解説! - クリスク

こんにちは!
クリスク・ベトナムのリエンです。

世界中で約25億人のユーザーが使用しているFacebookは、企業のマーケティング活動の面から、無視できない存在であると言えます。しかし、当然ながらFacebookだけでマーケティングを行えば大丈夫というわけではありません。
日本のLINE、韓国のカカオトークのように、世界各国によってよく利用されるSNS、コミュニケーションツールは違ってきます。

ベトナムには、ローカルに強いソーシャルメディアとして挙げられる「Zalo」というSNSプラットフォームがあります。

「Zalo」にはどのような機能があり、ベトナム人に何が受けているのか、マーケティングへの活用方法などを今回は紹介していきたいと思います。

Zalo(ザロ)とは

Zaloは、ベトナム発のショートメッセージサービス(チャットアプリ)及びSNSで、世界で1億人のユーザーがいます。タイやフィリピン、インドネシアなど東南アジアの地方でも利用されているようですが、ほとんどのユーザーはベトナム人です。

  • リリース:2012年8月
  • 運営会社:VNG corporation(ベトナム)
  • 総ユーザー数:1億(全世界)
  • アクティブユーザー数:5200万人(ベトナム)
  • (総FBユーザー数は6500万人、YouTubeのユーザー数は5000万人)
  • WEBサイト:https://zalo.me/pc

なお、Zaloは2016年からミャンマーに進出しましたが、わずか4ヶ月でユーザー数が200万人を超えました。

参考:https://bit.ly/2yRsUxE

Zaloの機能

引用元: App Store

Zaloは、音声通話、チャット、ライブ配信、ニュースフィードはもちろん、音声メッセージの送信やショッピング、乗車券・交通券予約、宿泊予約、銀行、各種料金(水道料金、電気料金、インターネット)支払い機能も無料で使用できる、ベトナム人にとってなくてはならないサービスとなっています。

Zaloはベトナム国内利用率がFBと同じ?

引用元: We are social

上の表はベトナム人が過去1ヶ月につかったSNSを表すものです。Facebookの利用者の方が多いように見えますが、Zaloは電話番号1つにつき1アカウントという規制があるため複数アカウント作れるFacebookとの実際の利用率の差は大きくないと言われています。

また、中国を除いた東南アジア各国では、SNSやチャットアプリといえば外国発のものが人気です。そんな中、ベトナムでは人気TOP3にZaloが入っており、ベトナム国民の人気が高く、とても貴重なポジションにあるソーシャルメディアと言えるでしょう。

各国のSNSランキング等の指標は、We are socialを引用
ほか、各種数値はクリスクにて調査

Zaloが人気な理由 

2012年リリースされたZaloは、Facebook(2008年ベトナム進出)やTwitter(2008年ベトナム進出)に比べて後発のサービスでした。
そのため、それぞれの良いところを踏襲し、またベトナム人にとって使い勝手が良くないと思われた部分は改善し、ユーザビリティを追求することが多くのユーザーを獲得していきました。

では、一体どんな点がベトナム人から絶大な人気を得ているのでしょうか?
ポイントを5つに絞って説明します。

人気の理由① 高齢者でも簡単に使えるUI・機能性

Zaloは、完全ベトナム語対応、シンプルでユーザーに優しいUI、FB Messengerよりも軽いアプリサイズ、モバイル通信を使う時のパフォーマンス(チャット、写真送付など)などがFacebookより良い、というユーザーが少なくありません。

中でも5分間の音声メッセージを高速で送るという独自機能は最大の強みでしょう。この機能により、スマホで文字を入力してチャットすることが苦手な人、例えば高齢者でも気楽に使うことができるのです。

また、Zaloは電話番号でリアルのつながりを重視しているため、電話番号を入力するだけでアカウントを作成でき、連絡先帳に登録している知り合いが自動的にZaloコンタクトに追加されます。
おかげで、離れて暮らしている家族とのやりとりや近況報告が快適にできます。

人気の理由② 友達との繋がり方が多様

Zaloには、LINEとFacebookを合わせたような基本的なSNSの要素に加え、位置情報機能を使って「ご近所さん検索」という近くにいる別のZaloユーザーを検索できる機能も付いています。

これは、ちょっと怖いような感じがするかもしれませんが、海外旅行や留学の時に他のベトナム人を探すには非常に役に立つ機能なのです。

一方で、タイムラインやブログ機能については、Zaloユーザーのパーソナル性を重視した設計となっています。興味を持っているページの投稿とフォローしている友達の投稿画面は別れているため、情報過多で疲労することもありません。

人気の理由③ 仕事面でも使える

引用元: Zalo Work

ZaloのPC版アプリには、チャット機能のみが存在します。

ZaloのPC版アプリは、LINE WORKS(ラインワークス)や、Slack(スラック)のようで、ニュースフィードに溢れる情報に気を取られてしまうことがないため、仕事で利用する人の割合が高いです。

ZaloのPC版アプリでのやりとりの内容は、他の携帯端末などと同期されるため、社内だけでなく、他社と協力してプロジェクトを行う際にも気軽に使える連絡手段として活用されています。

引用元: Zing

■クラウドストレージとの連携可能
Google DriveやDropboxというクラウドストレージにも連携できます。

■閉じたグループでのやりとりが可能
「グループ」という独自のグループチャット機能を使って、特定のユーザーのみでメッセージとビデオ通話機能を利用できます。その他、グループのメンバー向けのメモやアンケートなどで業務効率化できる便利な機能が色々あります。

■To do機能
作業をリストアップして自分や他のユーザーをアサインできます。
タスク管理、締め切りリマインダー、レポートリクエストなどで情報を共有しているのは当事者同士だけではなく、グループ内の人にはプロジェクトがどれだけ進行しているのか明確に把握できます。

人気の理由④ 豊富な機能と利用可能サービス

Zaloは、SNSとメッセンジャーを分けて独立アプリとして展開してきたFacebookなどとは違い、一つのアプリ内で色んな機能やサービスを統合した「スーパーアプリ」を目指していると言われています。

例えば、Transport(交通チケット予約購入)、Hotel(ホテル予約)、Bank(ネットバンク)、天気、ベトナム人に不可欠の旧暦カレンダーなどがZaloアプリ内で一体化しています。

Zaloは、「豊富な機能と利用可能サービス」を持つからこそ、多くのベトナム人に支持されているのです。

人気の理由⑤ Eコマース機能の充実

便利な機能の中でも注目べきなのは、以前にベトナムキャッシュレスの記事でも紹介した決済サービスの「Zalo Pay」、商品の価格やカテゴリに合わせて掲載やプロモーションを行える「Zalo Shop」、広告で集客サポートも行える「Zalo Ads」という3つの機能です。

引用元: We are social

We are socialの調査によると、ベトナム人の84%は商品やサービスをインターネットで調べて購入する傾向があり、59%は携帯電話(スマートフォン)で購入した経験があります。また、若くて購買力がある20代・30代、今後の購買層となる10代は、Eコマースとの親和性が高くなっています。

そのため、ベトナムではEコマースショップによるZaloなどのSNSを活用したマーケティング活動も年々活発になっています。

Zalo Shopの機能、利用するメリットは?

ベトナムの企業や個人運営オンライショップは、商品情報をSNSに投稿する時に下記3つをセットで用意することが不可欠となってきています。

  1. Facebookページ
  2. Zalo公式アカウント(Facebookページに相当)かZalo個人アカウント
  3. 個人携帯番号・企業のWebsite
Zalo Shopの画面

中小企業やショップのオーナーの60%以上がZaloを販売チャネルとして使い、そのうちの4割がZaloをメインチャネルとして扱っています。

以下にZalo Shopの詳しいメリットをまとめました。

圧倒的なベトナム人ユーザーへのリーチ力

  • ベトナム国内利用者が圧倒的に多い
  • 登録には電話番号認証が必要になるため、偽のユーザーがほとんどいない
  • ショップをフォローしたユーザーには100%リーチできる
    ※LINEでのショップアカウントの友達登録と同じような仕組み

ネット販売に必要な機能が揃っている

  • 商品についての問い合わせやカートなどのECサイトに必要な機能が用意されている
  • ショップアカウントフォロワーにプロモーションなどの情報を個人メッセージで定期的に送れる(件数に制限あり、スパムの心配がない)
  • メッセージ機能が優れているため、ファンやお客さんとのやりとりがスムーズに取れ、運用効果が上がる
  • Zalo Shopで購入する商品は全てZalo Payで決済できる

ZaloAdsを活用してベトナム人へリーチ

ZaloにはFacebook Adのようにブランド認知度の向上、商品のPR、ファン獲得などをするための広告機能もあります。
一概には言えませんが、業界や商品によっては、競争がFacebookほど激しくなく、パフォーマンスも高くなる可能性もあります。

しかし、対応言語がベトナム語と英語のみというデメリットがあるため、日系企業で英語が苦手、ベトナム人のローカルスタッフがいない場合などは、運用面で使いこなすのが難しくなります。

まとめ

SNSマーケティングを上手く行うためには、FacebookやInstagramなどのグローバルなSNSツールだけでなく、現地で圧倒的な人気を集めている様々なSNS・チャットツールを把握して使いこなす必要もあると思います。

ベトナムでの事業展開を考えている企業や起業家は、Facebookだけでなく多くのベトナム人ユーザーが使うZaloも活用することで、自社製品やサービスを知ってもらうチャンスを増やすことができるでしょう。

(編集:きたざわあいこ)