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日本の漫画が導いたベトナム人少女のものがたり - クリスク

こんにちは。ベトナムスタッフのリエンです。

ベトナムでは旧正月(ベトナム語でテット)を迎えました。色々な希望を抱く新年のタイミングで自分の人生を振り返ると、一番誇りを感じた経験の1つは、小さい頃から尊敬していた漫画家の作品を翻訳し、出版できたことでした。

5歳の夏、「セーラームーン」との出会い

私がベトナム語さえまだ読めなかった5歳の夏、母が姉にプレゼントした『セーラームーン』の第1巻により、はじめて「漫画」という言葉を耳にしました。

そして、大人になり日本語が読めるようになった今も、漫画は楽しくて熱中できるものであり続けています。

私は漫画を読みながらすくすくと育ちましたが、母は漫画を夢中になって読む私をよく叱りました。
学校の成績に影響しないように頑張りましたが、母はそれを理解してくれなかったため、勉強の合間に読むことさえも禁止されてしまいました。

でも結局は両親にバレないように自分でお小遣いを貯めて、欲しい本を購入して読むことに。友だちや本屋から借りて読むなど、私の周りには常に漫画本があったのです。

その頃、私は、胸を張って自分をオタクと名乗っていました。しかし、大学生として日本に留学した時、日本の漫画市場の規模に驚かせられ、自分がそれまで読んできた作品が極めて少ないことに気付かされたのです。
留学先の東京大学でもゼミで漫画学を受講したことで、オタクの真の意味を知り、私は「オタク失格」になりました(笑)

ベトナムの先生にも理解してもらえた漫画の素晴らしさ


2018年『Japan Vietnam Festival』で森薫先生に描いていただいたイラストとサイン

いつからこれほど漫画を愛すようになったのか明確に覚えていません。しかし確実に言えることは、漫画は楽しく熱中でき、私の人生を豊かにしてくれました。さらに、視野を広げ、新しい知識をも与えてくれたのです。

私は学生時代に作文の成績が良かったのですが、これは、さまざまな思想が入り込んだ漫画作品を読んでいたおかげです。好きな漫画の台詞を自分の宿題に何度も入れて先生たちに褒められていました(笑)

『何が正しいか正しくないか、何が正義か悪かなんて誰にもわかりません。もし神がいて神の教示があったとしても私は一考しそれが正しいか正しくないかは自分で決めます。』
(『デスノート』 から引用)

『人は確かに愚かです。 ですが人はまた、変わることができる生物でもあります。 正義感をもった子供たちが、その素直な心のままに大人になってくれたら、世界はかわっていくと思いませんか?』
(『デスノート』から引用)

漫画は小説と比較されることも多いですが、このような登場人物のなんとも詩的な表現・台詞1つで、まるで小説を何ページも読んでいるかのような気持ちになれます。

それに、漫画は台詞のほかに小説では表現できない細かな感情の変化などが視覚でも感じることができるし、逆に、情報が与えられない部分は、自分で自由に想像できます。

このように、新しい発見と知識が自然に吸収できる漫画は、小説に負けない立派な芸術作品だと私は思います。

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次回は、リエンさんが漫画の翻訳に関わるようになったきっかけについて紹介していきます。

 

(編集:きたざわあいこ)