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月収数万円でも13万円のiPhoneを購入!? ベトナム人のスマートフォン事情

急速に普及しているスマホ市場。ベトナムでもスマホは人気があり、都市部では3割以上の普及率となっています。しかし、iPhoneの価格は10万円以上にも関わらず、月収数万円程度のベトナム人がなぜiPhoneやその他スマホを持つことができるのでしょう?

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こんにちは。クリスクベトナムのリエンです。

ベトナムのニュースサイト「VnEconomy」によると、2015年のベトナムの平均月収は553万ドン(約$248)だったようです。

この数字を見ると、高価なスマートフォンなどの電気機器はあまり普及していないのでは? と考える人が多いかもしれません。しかし、実際は$500以上のハイエンドスマートフォンの普及率は高まってきています。

ベトナムの驚きのスマートフォン普及率

スマートフォン市場_2

ericsson.comによれば、2015年時点で、都市部におけるスマートフォン利用率は40%に達しています(都市人口割合は34%)。ベトナムの人口は9,000万人程度なので、都市部に住む3,000万人のうち、およそ1,220万人がスマートフォンを利用していると考えられます。
首都のハノイ及び南部最大の都市であるホーチミンでは、おそらくスマートフォンの普及率はもっと多いでしょう。

日本や韓国といった先進国と比較するとまだまだ普及率は低いベトナムですが、実際に若者がスマートフォンを使っている姿をよく見かけます。
ベトナムでスマートフォンが欲しいと思うと、約$250程度が必要となります。さらにベトナムでは、スマートフォンと同時に通話機能のみの携帯電話を持つことが普通です($20程度から購入可能)。

 

なぜベトナム人は月収より高くてもスマートフォンを購入するのか?

ここまで読んで、ベトナム人の収入は決して高くないのに、どうして普及率が高まっているのか不思議ではないでしょうか?

スマホの高い普及率の前提条件としては、以下の要素が影響していると考えられます。

ソーシャルメディアのブーム

「SNS依存が強まるベトナム 最新のインターネット・SNS使用状況とは」で紹介したように、ベトナムでのFacebook利用者数は、2011年の140万人から5年間で約22倍の3,100万人に増加しています。
自分が何をしているかどこでも発信するために、スマートフォンが不可欠となってきています。これは、ゲームやSNSアプリなどが使えるスマートフォンが流行した理由の1つといえるでしょう。

安価なプリペードSIMカードの購入が可能

ベトナムでは10年以上前から携帯端末は、街の電気店で購入するのがスタンダードです。端末とSIMカードを購入すれば、都度お金をチャージすることで利用が可能となるため、月額の固定費用などが発生しません。
また、通話料は日本と比べてとても安く、月額300〜500円程度が最も一般的な金額です。

Wi-Fiの無料提供

カフェやレストラン、ホテルなどでWi-Fiが無料で提供されていることは、ベトナムでは当たり前となってきています。カフェ店内ではネットサーフィンや友達と話し合いながらスマホを触っている光景をよく目にしますし、Wi-Fiを利用して仕事をすることも可能であるため、カフェは大勢のフリーランサーにとってすごく身近な存在であり、理想的な職場となっています。

無料のWi-Fiを利用して、ZaloやiMessageといったツールでコミュニケーションを取り、無料のアプリやゲームを楽しむのであれば、スマートフォンは初期購入費用だけで、その後は非常に安い料金で楽しむことが可能だといえるでしょう。

しかし、ベトナム人である私でも理解できないのは、ベトナム人の多くがiPhoneやSamsungといった高級スマートフォンを持っていることです。
ベトナムでは、現在iPhone6s Plusは約13万円、Samsungは7.6万円で販売されています。これがベトナム人にとってどれくらい高級かは、平均月収が約$248(約2.7万円)という部分を思い出して頂ければ伝わるでしょうか?

 

月収以上でも最新機種を購入したいベトナム人

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2015年の時点で、ベトナムで使われているスマートフォンブランドはSamsungが約75%とトップ。ついでiPhone、Nokia/Microsoft、Huaweiと続いています。もちろんiPhone・Samsung以外にも、OPPO、Philips、Huaweiなど、中国製でもっと安いスマートフォンやMicrosoft Lumiaといった$200程度のローエンド機も売られています。

ちなみに、日本製品はあまり使われていません。
なぜかというと、日本メーカーはベトナム市場を注力ターゲットとしてしないので、日本のスマートフォンといえば、SonyのXperiaしか見ないような状況だからです。

なお、ベトナムではAndroid機がシェアを大きく獲得していますが、Appleはベトナムを次の注目市場としてターゲティングしているそうです。

参考 : ベトナム人におけるスマートフォン利用者の選択基準に関するアンケート/https://qandme.net/vietnam-report/Vietnamese-smartphone-survey.html

 

2016年にHILL ASEANが発表したクラス意識に関する調査結果によれば、96%のベトナム人は自分が中間層だと感じていますが、収入から見ると、中間層は全体の約半数に留まるということが明らかになりました。
このようにベトナムでは「中間層意識」及び「中間層といえる収入がある」ことのギャップが、他のASEAN諸国の中でも特に大きいのです。

それに加えて、品質・性能よりもブランドや社会的ステータスを重視する国民性であるため、月収の3倍・4倍もするApple製品が人気なのだと考えられます。
高校生でもApple製品の最新モデルを持っていたり、ベトナム市場でまだ販売されていない商品を外国にいる知り合いに依頼して手に入れたりすることが珍しくないことからも、ブランド意識が非常に高いことが分かるでしょう。

なお、iPhone SEの販売はベトナム市場ではあまりうまくいっていないそうです。
その理由は、iPhone6より安いがiPhone5/5sシリーズのデザインとほぼ同じだという点にあるでしょう。強い所有欲があり、流行を追う一部のベトナム人からすると、旧モデルのiPhoneを使っていると周囲に思われたくないそうです。

こういった戦略のミスもあってか、Appleの2016年第1四半期の総収入は急落し、OSシェアが24%に激減してしまいました。

参考元 : 2015・4Qと2016・1QにおけるスマートフォンブランドTOP6の世界市場規模/http://press.trendforce.com/press/20160418-2418.html

 

まとめ

依然、ODAの援助を受けている発展途上国のベトナムですが、贅沢品を強く消費する傾向があります。それにより社会問題が発生し、収入と意識のギャップが広がる可能性も心配されます。

一方、上述のようにまだ多くの人がiPhoneを買えるような経済状況ではないため、ベトナムでは多くの安いスマートフォンが販売されています。
安価なスマホは2016年以降さらに成長し、米国ブランドの製品が徐々に浸透していくのではないかと私は予想しています。

 

(編集 : きたざわあいこ)

※本文内で引用されている資料・データ、登場する人物の所属名・役職名などは掲載当時のものです。

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この記事を書いたのは

クリスク・ベトナム マネージャー
東京大学留学後、ベトナム大手IT企業で仕様書の翻訳や通訳を担当。クリスク・ベトナムで広告運用・インフルエンサーマーケティング・マーケットリサーチなどのデジタルマーケティング支援に携わるほか、ベトナム大手出版社でマンガ、小説のベトナム語翻訳も手掛ける。趣味は映画鑑賞、コンサート鑑賞、山登り。

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