こんにちは、クリスク・タイのパーです!
普段、皆さんはどんな移動手段を利用していますか?
日本の東京や大阪のような都心では、やはり一番人気なのは、電車や地下鉄のような公共交通機関だと思います。
一方、タイの首都・バンコクでは、電車と地下鉄より、バスと自家用車が多く使用されています。その結果、ひどい渋滞が発生し、通勤・通学者は頭を悩ませていました。
しかし、ここ数年でこの状況も少しずつ変わってきています。それは、バンコクの中心部しか走っていなかった高架鉄道「BTSスカイトレイン(BTS)」の路線が延長されたからです。
それでは今回は、バンコクの交通状況とこれからBTSの路線延長によって変わっていく影響を説明したいと思います。
バンコクの交通手段 なぜ車が人気?
2019年のデータによると、バンコクに住んでいる人達のうち約50%はバスで移動しています。そして、その次に人気なのが自家用車で40%の人が利用しており、残りの10%の人が電車を利用しています。
「どうしてこんなに自家用車が人気なの? 」と皆さんは不思議に思いますか?
理由は、とても簡単です。
それは、タイは一年中とても暑いからです!
バンコクの年間平均気温は29℃。
1駅の距離を歩いただけでも暑さに耐えることがとても難しいため、家からそれほど遠くない電車や地下鉄の駅でも歩いていけば、汗でびしょびしょになるのは避けられません。そのため、涼しくてエアコンが効いている車の方を選ぶ人が多いのです。
自家用車を持っていない人もいますが、そういった人はバスや、バイクタクシー、船タクシーなど、自分の生活に一番合っている交通ルートを利用しています。
参考:https://www.terrabkk.com/news/192987
その結果起きている深刻な渋滞問題
バンコクの渋滞の酷さは、1度来たことがある方ならよくご存知でしょう。
TOMTOM(交通アプリケーション開発会社)が行った2019年の世界渋滞調査によると、バンコクに住んでいる人達は、通常必要な通勤時間に加え、朝のラッシュアワーにはプラス24分、夕方のラッシュアワーにはプラス30分がかかっているそうです。
また、Uberが2018年に発表した調査でも、バンコクの人達は、1日平均72分くらい道路・車内で時間を無駄にしているそうです。
2019年の渋滞都市ランキングでは、バンコクは世界11番目になり、日常生活に響く渋滞問題が続いていることが分かります。
参考:https://www.tomtom.com/en_gb/traffic-index/bangkok-traffic#statistics
BTSスカイトレインとは?
BTSスカイトレインは1999年12月5日に開通したバンコク市内中心を走る高架鉄道のことです。名前は運営会社の「Bangkok Mass Transit System Public Company Limited.」の頭文字を取って「BTS」と呼ばれています。
地下鉄の「MRT」や、空港線の「BRT」とも乗り換えることが出来ます。
▼BTSスカイトレインのデータ(2019年8月 現在)
▼路線図
開通から20年間経ったBTSは、すっかりバンコク市民の生活に馴染むことになりました。渋滞がひどいバンコクのを救ってくれる素晴らしい交通機関です。
参考
http://www.btsgroup.co.th
https://www.bts.co.th/index.html
https://www.thaipost.net/main/detail/44545
最近の駅延伸
2019年12月4日、BTSで5つの駅(Ha Yaek Lat Phrao駅、Phahon Yothin 24駅、Ratchayothin駅、Sena Nikhom駅、Kasetsart University駅)がスクンビット線に追加されました。
開通してから21日間で、この5つの駅の合計1日平均使用回数は、7.9万回におよびました。
参考: https://bit.ly/2HghO5Z
これからの駅延伸予定
スクンビット線は2020年内にあと11駅延伸されることが発表されました。その中の最初の3つの駅は4月から使用可能だそうです。
BTS路線延伸によってどんな影響がある?
路線の延伸は多くの人にとって喜ばしい出来事でしょう。
しかし、それによって今後どんな影響がおきるのでしょうか?
コンドミニアムの人気が急上昇
最近では、誰もがバンコクの渋滞を避けられる便利な住まいが欲しいに違いありません。
しかし、そんないいロケーションはもちろん高くて数も限られています。そのため、一戸建て住宅の要望が減少していく一方で、コンドミニアム(タワーマンション)のブームが何年も続きました。
コンドミニアムの購買やレンタルビジネスが急成長しており、一戸建てを売って、コンドミニアムに引っ越した私の友達や知り合いが何人もいます。
バンコク都心の拡大・発展
BTS路線に沿って、バンコクの周りの地域の発展が進んています。例えば、デパート、住宅団地、アパート、コンドミニアムなどがたくさん建てられました。
インターネット上では、住宅のお勧めロケーションについて聞かれたら、よく都会の中心から離れているけど、周りの地域はこれからBTSが通るからお勧めといった回答が多く見かけられます。
当然、BTS路線の延長予定があるエリアのマンションなどの値段は急上昇しています。
スクンビット線の最終駅だったオンヌット駅の周辺のコンドミニアム値段は、1平米当たりに68,000バーツ程でしたが、オンヌット駅から路線が延長されたことによって、2018年の時点では1平米当たり122,000バーツほどと、値段が約2倍まで高騰しています。
参考: https://bit.ly/3cg7hWG
都市計画の整理
タイで有名なビジネスやデパートを持っている資本家たちによって、BTS線路延長エリアに大きな建物が建てられるようにバンコクの都市計画の整理提案書が出されました。これからはバンコク中心部のSiamエリアだけに限らず、周辺地域にも立派なデパートができることが期待されてます。
サパーンタクシン駅でチャオプラヤ川の両側が繋がれたおかげで、バンコク都会の川向かい側にある新しいデパート「ICON SIAM」の交通が便利になりました。
高島屋やタイで唯一のApple Storeもここにあります。
交通渋滞の緩和
バンコクのトップ渋滞ランキングで、5つの大通りが集まる「Ha Yaek Lat Phrao」(ラットプラオ交差点)に、2019年の12月にBTSの駅ができました!
このおかげで、渋滞が少し良くなったという意見も出てきました。
この駅は、地下鉄の「MRT」にも乗り換えが可能で、大きなデパートとも繋がっていますので、とても便利な駅です。レポートによると、1日の平均使用回数は31,476回だそうです。
建設による渋滞と大気汚染
BTSやMRTの延伸のためには建設工事が必要です。そのため、道路やUターンスポットが使えなくなり、元々渋滞が起きているバンコクの道路がさらに深刻になりました。また、工事による埃などもバンコクで問題になっている大気汚染の理由の一つです。
まとめ
バンコクでは、公共交通機関ではなく自家用車を主な交通手段としている人が多いことが原因で、交通渋滞が慢性的な問題となっています。
しかし、この20年間運行しているBTSのおかげで、徐々に交通方法やライフスタイルの変化、都市の発展までが進んできています。
これから延長されるBTSだけではなく、地下鉄の路線も延長されバンコク市民の生活の質がもっと上昇していくことを期待しましょう!