こんにちは!クリスク・ジャパンのリュウです。
今、東南アジアでは新型コロナウィルスの影響で、オンラインショッピングの利用が急増しています。そのなかでも、FacebookやInstagramなどのSNS上でリアルタイムに商品・サービスを販売する「ライブコマース」が大変盛り上がっており、重要な販売ツール、販促手法となっています。
台湾では、2015年頃からSNSのライブ配信機能を利用したライブコマースが開始しました。今では、企業だけでなく、政府機関も活用しています。
以前、当社のコラムでタイのライブコマース活用事例をご紹介しましたが、今回は東南アジアとは違う、台湾特有のライブコマースの手法をご紹介します。
「ライブコマース」がタイで人気!その理由と活用事例
台湾ライブコマースの利用状況
台湾では、昔から市場や街中の「呼び掛け販売」が日常的に行われていました。
ライブコマースはその呼び掛け販売をそのままオンラインに移したようなものなので、台湾人には非常に馴染みやすい販売手法だったと言えます。
2020年時点で、台湾では80%の台湾人がeコマースを利用しており、一人当たりの年間利用金額は1,799USD(約20万円)でした。
しかし今、コロナの状況下でECサイト利用率が高くなっているため、ライブコマースに慣れていく台湾人が増加している可能性は高いでしょう。
なお、台湾最大の越境ECサイト「Shopee Taiwan」が発表したレポートによると、2020年Shopeeが提供しているライブコマース配信機能「Shopee Live」の視聴者数は前年より3倍ほど成長していることがわかっています。
参考)
We are social
創市際市場調查
直播電商正熱!蝦皮Shopee LIVE觀看人數年增3倍,賣家操作眉角是什麼?|數位時代BusinessNext
ライブコマースで人気のプラットフォームは?
台湾のライブコマースは、主にFacebook、Instagramを利用して行われています。2016年よりFacebookに「Facebook Live」というライブ機能が追加されてから、ライブで商品を売る利用者が急増し、ライブコマースが流行り始めました。
その後、ライブコマースのコア利用者層である20〜30代の女性に人気のSNS・Instagramにもライブ機能が追加され、ビューティー系の商品を販売するアカウントが増えました。
またSNSの機能を利用したものだけでなく、ECプラットフォームのライブコマース機能も活用されています。台湾で利用者の多いECモールであるShopee、PCHome、momo、ヤフー台湾(ヤフオク)にもライブコマース機能があり、出店しているショップは簡単にライブコマースを行うことが可能です。
ライブコマースで売れている商品は?
実際の体験や利用経験が重要な商品はライブコマースにぴったりです。ライブコマースによる大きな販促効果が期待できる商品の例を紹介します。
① 農産物や海鮮
新鮮さが重要となる食品類のライブコマースは、その多くがFacebookで行われています。スーパーなどで高額な果物や海鮮などを激安価格で購入できるということで、主婦層から多くの支持を得ています。今のFacebookライブコマース人気のきっかけは、農産物と海鮮商品のライブコマースです。
ライブ中の激しい呼び掛けと面白いコミュニケーションはインパクトを与えます。そして、購買人数が増えるほどディスカウント率が高くなるセールも農産物と海鮮商品のライブコマースの特徴です。
② ビューティー系商品
女性が圧倒的に支持しているInstagramでは、よくビューティー系商品のライブコマースを見かけます。またECサイトでもビューティー系商品のライブコマースが多くなっています。
洋服、化粧品、スキンケア商品などビューティー系商品は、購入者は購入検討の際に実際の使用経験を非常に重視します。商品の実際の効果をリアルに伝えることができるので、ライブコマースとの相性が高く、販促効果も高くなります。
③ ショッピング代行サービス
元々台湾では、海外限定商品の購入を依頼する「ショッピング代行」というサービスが人気です。特に日本と韓国のビューティー系商品のショッピング代行は流行っています。
これまで、ショッピング代行サービスは主にFacebookグループなどでお客様とやり取りをしていましたが、最近はライブコマースに移行しています。サービス提供者は海外で商品を購入の際に、ライブ配信しながら視聴者に購入予定商品とあわせて海外の最新ファッショントレンドを紹介します。そこから売上につながる呼び掛けなど販促を行います。
これ以外にも水晶、翡翠、アンティーク商品などのライブコマースも人気です。
ライブコマースを成功させるポイント!
せっかくライブコマースを行うのであれば、以下の2点をおさえておくことをおすすめします!
ショート動画の活用
ライブ配信の内容を編集してショート動画を作成したり、商品の特徴をまとめた事前販売予告など、オリジナルの販促広告の配信も重要です。
平均1時間くらいのライブコマースと違い、再生時間が1分〜3分程度のショート動画は拡散力が高く、興味関心を喚起させしやすい特性があります。ブランドのSNSアカウントで投稿するとさらに大きな販促効果を期待できます。
例として、こちらはフォロワー数が30万人の人気ライバーが配信し、再生数が248万回を超えた鍋の販促広告です。販売している鍋を使ったレシピ動画をアップロードして話題性拡大とシェア数を狙っています。
複数のSNSアカウントの活用
FacebookとInstagramで行う「ソーシャルコマース」が、台湾ライブコマース界の主流です。そのため、たとえ「Shopee Live」など、ECサイトで主にライブ配信を行っているブランドやショップであっても、必ずFacebookやInstagramページを持っています。
SNSページで次回の配信告知、事前の商品紹介、また他のプラットフォームで行われたライブ内容の再配信などを行います。そして、購入者のカスタマー対応もSNSを利用します。
そして、FacebookとInstagram以外にも、ライブ配信の視聴者とのコミュニケーションを強めるため、Lineグループ、Lineオープンチャットなどを利用して、参加者限定のクーポン配布やアンケートを行ったり、次期商品の購入優先権を与えるなど様々な販促手法を実施することが可能です。
複数のSNSアカウントを運用することで、ライブ配信時間以外でも視聴者と潜在的視聴者とコミュニケーションを図り、販促効果を高めることができます。
台湾でのライブコマース事例
簡単にライブコマース事例を3つ紹介します。
阿榮直播
Facebook フォロワー:約15万人
https://www.facebook.com/aye0800588880/
台湾の有名俳優が経営している会社のアカウントで、ほぼ毎日Facebookでライブコマースを行っています。毎回のライブ配信平均視聴者数は8,000〜10,000人です。ライブコマース以外にも、ショート動画作りと話題性を集めることが得意です。
台南市
台湾では、地方自治体が農産物の販売をFacebookで行うことがよくあります。特にコロナ後、展示会やフェスティバルの開催停止により、ライブコマースは最も販促効果があるマーケティング手法とみられています。
今年はマンゴーフェスティバルの開催が中止となった代わりに、台南市政府はマンゴーギフトのライブコマースを行ったというニュースがありました。市長本人が司会を担当し、30分で100箱のマンゴーギフトが完売しました。
参考)「跟著芒果去旅行」 黃偉哲直播賣芒果 短短30分鐘100箱完售–上報
Watsons(ドラックストア)
大手ドラックストアの「Watsons」がインフルエンサーと連携して店舗内でライブ配信を行いました。ライブ中に、オンラインショップでも使えるクーポンを配布したり、シェアでプレゼントの抽選キャンペーンを行ったりしました。
インフルエンサーが自分の居場所を提示してファンを呼び掛けることも可能であり、店舗内のお客様はもちろん収録現場を見ますので、OMOの仕組みで販促効果をさらに拡大します。
まとめ
台湾人が慣れているマーケティング販促手法の一つとして、多くの販促事例があるライブコマースの影響力はこれからも減ることはないでしょう。
口コミを大事している台湾人に対して、インフルエンサーを活用することでより説得力を得ることもできます。そのために、ECサイトやブランドもインフルエンサー育成と連携を積極に行っています。
台湾人が好むライブコマースを理解して、台湾の越境eコマースを試してみませんか?