広告というと、企業が自社の商品や所属芸能人・有名人を売るために出すイメージがあると思いますが、韓国では好きなアイドルや芸能人をより多くの人に知ってもらったり、誕生日などの記念日を祝ったりするためにファン個人が出稿することが広まっています。
この「応援広告」は、近年K-POPが世界中で人気を博していくのに伴って日本や世界各国でも見かけるようになってきていますが、東南アジアではどのような状況なのでしょうか?
2023年3月の当社記事では、タイのトゥクトゥク(三輪自動車のタクシー)内の広告や、インドネシアのバス停やショッピングモール、幹線道路沿いの看板やサイネージ広告などで応援広告が出されている様子を紹介しましたが、1年経ってさらに広がりを見せているのでしょうか?
今回は各国の現地スタッフに、2024年の応援広告の現状を聞いてみました。
インドネシアではMRTやショッピングモールで大規模な応援広告も
クリスク・インドネシアスタッフのワルダは、2019年に開通した都市高速鉄道・MRT駅付近で応援広告を見ることが増えたと言います。
ジャカルタの巨大ショッピングモールと言えばクニンガンシティも有名ですが、
インドネシアで見る応援広告は、韓国など他国のファンが出しているものではなく、ほとんどがインドネシア人ファンによるものだそうで、
特によく見かけるのは誕生日の応援広告で、その時期にはSNS上にも応援広告の写真や動画がよく上がってくるのだとか。
誕生日以外でも、ジャカルタでコンサートやイベント開催を予定しているアイドルの応援広告も多いとのことです。
ワルダ自身も推しているアイドルの応援広告を見に行ったり、知らないアイドルの広告を見かけたら検索したりすることが多いそうです。インドネシアでは「推し活」の中に応援広告がしっかり根付いてきていることがうかがえます。
インドネシアの応援広告の相場(クリスク調べ)※ディレクションフィーは含みません
場所 |
金額感(期間) |
内容(条件など) |
Kuningan City LED |
27万円/日〜 |
540 回表示/日 |
Ciputra World LED |
27万円/日〜 |
540 回表示/日 |
Pondok Indah 1&2 LED |
26万円/日〜 |
540 回表示/日 ※1~2箇所を選択して設置 ※1箇所あたりの費用 |
タイの推し活は低価格のトゥクトゥク広告出稿や地元で集まれるイベントへシフト
タイでは、バンコクや首都圏を走るMRTでの応援広告よりも、トゥクトゥクへの出稿や地元のカフェでのオフ会・オフイベ(オフラインでの集まり)が増えていると語る、クリスク・タイスタッフのパー。
その他にはマーブンクロンセンターやアイコンサイアムといった大規模なショッピングモールで、デジタルサイネージ広告や巨大スクリーン広告を見ることもあるとのこと。
ただ、今は安価で地元の活性化にもつながるトゥクトゥク広告が人気だそうです。
交通広告以外にも、比較的アクセスの良いカフェなどでファンによるイベントが開催されることがあり、アイドルの写真などでかわいく飾られたカフェの画像なども拡散されているようです。
なお、タイで応援広告を出稿するファンの多くはタイ人とのこと。裏を返せば、日本人が推したいアイドルを広める余地は充分にあるかもしれませんね。
タイの応援広告の相場(クリスク調べ)※ディレクションフィーは含みません
場所 |
金額感(期間) |
内容(条件など) |
MBK巨大LED |
28万円/15日間〜 |
30秒以内動画 |
トゥクトゥク |
7000円/7日間〜 |
車の後ろの看板の場合(80 × 50cm)1台あたり |
ベトナム&マレーシアではSNSでの応援広告が増加中
クリスク・ベトナムのズンによれば、若者がよく行くショッピングモールや、ちょっと高めのショッピングモールのLEDサイネージ広告を見かけることがあるとのこと。
一方、街中ではなく、SNS上では応援広告を見かける頻度が高くなっているようです。
特にアイドルの誕生日には、ファンページやアイドル専用のニュースページから多くのコンテンツが投稿され、一般のフィードにも多く流れてくると言います。SNSが急速に普及している東南アジアでは、応援広告の主戦場もSNS上に移りつつあるのかもしれません。
ベトナムの応援広告の相場(クリスク調べ)※ディレクションフィーは含みません
場所 |
金額感(期間) |
内容(条件など) |
AEONモール |
35万円〜/1週間 |
30秒以内動画 |
路上看板 |
470万円/年 |
10,5m(W) x 8m(H) = 84m2 12,5m(W) x 5,5m(H) = 68,8m2 |
路上LED |
90万円/月〜 |
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市内バス |
17万円/台〜 |
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また、クリスク・マレーシアのスタッフであるバイも、同じようにSNSで応援広告を見ることが多いと言います。
交通機関やショッピングモールなどのサイネージ広告などは、価格が高いために複数のファンが集まって資金を出し合う必要が出てきますが、比較するとSNS広告は低価格に抑えることができるため、個人や少人数でも利用しやすいのかもしれません。
マレーシアの応援広告の相場(クリスク調べ)※ディレクションフィーは含みません
場所 |
金額感(期間) |
内容(条件など) |
Bukit Bintang 3.1429241,101.7119833 |
140万円/月〜 ・1広告15秒(1日456回) |
デジタルLED看板 トラフィック 15,000,000(月) サイズ:25.00ft x 34.00ft |
NPE - LDP, Bandar Sunway, Petaling Jaya, Selangor 3.077243,101.613535 |
57万円/月〜 ・1広告15秒(1日510回) |
高速の周りの10個のミニLED看板 トラフィック 5,600,000(月) サイズ:7.40ft x 4.00ft (10個) |
まとめ:SNSの応援広告はどの国でも狙いやすい
このように、ファンたちが共同出資して誕生日を祝ったりイベントを広めたりする応援広告は、東南アジアでもじわじわ広がってきている模様。
K-POPグループには韓国人メンバーだけでなく、多様な国籍のメンバーが増えてきたことも、応援広告のグローバル化につながってきているようです。
東南アジアの出稿先としては、推し活や応援広告が既に根付いているインドネシアやタイが真っ先に選択肢に挙がるでしょう。一方、ベトナムやマレーシアでもFacebook・Instagram・TikTok上では応援広告が広がってきているため、そういった国ではまずSNS広告に挑戦してみるのも有効かもしれません。
応援広告を出す際の注意点としては、現地の情報に詳しい広告代理店を利用することや、顔写真やロゴの使用などが肖像権や著作権の侵害に当たらないよう、所属事務所に事前に使用や広告掲載の許可をとることなどが挙げられます。
また、個人による掲載依頼は受け付けていない広告代理店も多いため、仲間を集めた実行委員会、ファンクラブなど、団体名義で申請するほうがスムーズでしょう。
クリスクでも、タイ・ベトナム・インドネシア・マレーシア・台湾などの各国で対応可能です。日本のアイドルなどの「推しを世界に広めたい!」という場合は、ぜひご相談くださいませ!
※原則、団体もしくは企業からのご依頼を承っております
(編集協力:大西 桃子)