こんにちは!クリスク・インドネシアのジェリーです。
現在世界中で、情報通信技術(ICT)を活用したヘルスケアサービスの導入が進んでいます。
このe-ヘルスと呼ばれている仕組みにより、医療サービスへアクセスが容易なり、サービス品質の向上や、医療費の削減にもつながると言われています。
インドネシアでも多くのヘルステック(ITを活用した医療サービス)のスタートアップが誕生し、成長しています。
今回は、インドネシアの診療アプリを中心にご紹介したいと思います。
インドネシアのヘルスアプリ状況
インドネシアはもともとヘルスアプリ(栄養、心拍数、睡眠などを管理するアプリ)の使用率が高い国の1つです。
昨今では新型コロナウイルスの影響もあり、オンライン診療サービスを利用する人が増加しています。そのためインドネシア国内だけでも同じような診療アプリが10以上提供されています。
その中でも、最も多く使用されているアプリが「Halodoc(ハロドック)」です。
4,000以上の病院や薬局などをネットワーク化。2万人以上の医師を抱え、1,800万人以上のユーザーが利用しています。
(参考:Pengguna Halodoc Naik Dua Kali Lipat, Layanan Dokter Paling Diminati)
Halodoc(ハロドック)は何ができる?
Halodocを使うと、ユーザーはアプリを介して医師に直接相談ができます。
実際に通院する際も、自宅で予約し病院を訪問。病院に到着後は受付など面倒なことをする必要はなし。待ち時間もなくすぐに医師に相談できます。処方薬も、バイク便で配達してもらうことが可能です。
※ただし処方箋が必要な薬を購入するには、Halodocのアプリだけで完結することはできません。医師から処方された薬を購入するには、処方箋をアップロードし、その後、WhatsApp(チャットアプリ)を介して確認をする必要があります。これは、処方薬を悪用されないようにするためです。
Halodocの主な機能
- 医師への医療相談(チャット、ビデオ通話、音声通話)
- 薬の購入
- 来院・検査予約(PCR検査・ワクチン摂取の予約など)
- 医療健康情報
この他、月経カレンダー、妊娠カレンダー、BMI計算機、投薬リマインダーなどの機能もあります。また、精神科医、心理学者、獣医などへの相談も可能。
コロナ禍でも活躍するHalodocの取り組み
これまでに、Halodocは、さまざまな機関と連携してきました。
国民健康保険制度(BPJS)や、インドネシア医師会(IDI)との共同研究、血液検査、健康診断サービスを提供するProdia社、コロナ感染防止では保健省やGojekとも協力しています。
また保険会社のAllianz Life IndonesiaやPrudentialなどとも協力しています。
このパンデミックの間も、Halodocはインドネシア保健省と協力し、Halodocアプリ内にコロナウイルスのカテゴリを設け、毎日少なくとも3〜4の教育コンテンツを公開しています。
コロナウイルス感染確認のために、AIチャットボット機能も提供しています。
このサービスでは、チャットボットが地域情報やコロナ感染者との接触状況など、コロナに関する基本的な質問をします。
質問に回答するとチャットボットは、患者がウイルスにかかるリスクがどれだけ高いかを測定し、医師による直接検査の推奨を行います。
ユーザーはHalodocが提携する医師や病院に予約を入れて、簡単検査(Rapid Test)やPCR検査を受けることができます。また現在では、ドライブスルーワクチン接種の予約も可能です。
SNSを利用した告知
数千から数百万のフォロワーを持つインフルエンサー(またはインドネシアではブザーとも呼ばれる)はひとつのマーケティングポイントとなります。
このマーケティング戦略を実施しているスタートアップ企業はたくさんありますが、Halodocも類に漏れません。
ナノ・マイクロインフルエンサーを活用
Halodocは、毎月500人のインフルエンサーに10%の特別報奨金を割り当てているそうです。
その中には、有名なインフルエンサーだけではなく、数百人程度のフォロワーを持つ、ナノ・マイクロインフルエンサーという人も含まれます。
有名人の活用
Halodocは、ブランドアンバサダーとしてBCL(Bunga Citra Lestari)を起用しています。BCLはインドネシアとマレーシアで有名な歌手であり、家族の健康の質を優先しながら母親業もこなしています。
そんなBCLと一緒にHalodocは「#TanyaDokterAsli(#医師に聞く)」キャンペーンを開始。
健康に関する情報やアドバイスを得るために、信頼できる医師と直接コミュニケーションをとることの重要性について一般の人々に啓蒙、教育するために開始されました。
まとめ
ヘルスアプリがインドネシアで普及したことで、生活にも変化が現れました。
インドネシアでは渋滞や、洪水などの災害があります。そして病院がまだ少ないため、病院にかかるのが大変でした。
しかしヘルスアプリのおかげで、現在では医療サービスへのアクセスは簡単になり、誰でもどこでも医師とつながり、スマホで医療ニーズを満たせるようになりました。
患者は自分の病気について医師に直接相談できるので、病気がそれほど危険でなければ公立病院に急ぐ必要はなくなりました。
インドネシアの健康に対する意識はまだ低いですが、ヘルスケアテクノロジーの進化で、健康への意識も変わっていくでしょう。
(執筆:Jeillyta Chandra/編集:きたざわあいこ)