こんにちは!クリスク・インドネシアのタニアです。
前回の記事では、インドネシアの都市部と地方の人々のライフスタイルの違いについて紹介しました。
地方と都市で大きく違う!インドネシア人の生活・考え方
インドネシアは「多様性」が重要なポイントであるため、インドネシア人といっても一概にこう対応することが正解、といったものはありません。ですが、インドネシア文化を知り、インドネシア人を理解することで日常的なコミュニケーションは随分とスムーズになるでしょう。
そこでこの記事では、インドネシア人と交流するときに知っておくべきこと、注意点などについて紹介したいと思います。
この記事でわかること!
- インドネシアは階級社会であるため、年長者・上位職者への対応マナーには注意が必要
- 地方での文化や、宗教的文化など多様な価値観を尊重する必要がある
- ビジネス・プライベートのどちらでも、インドネシアでは社交性が重んじられる
インドネシア語を学ぶことの重要性
インドネシアの主要な共通語であるインドネシア語。
インドネシアの人口のうち94%(2.5億人)以上の人々がインドネシア語を話しますが、第一言語として利用しているのは、人口の20%(5400万人)にすぎません。
第一言語としては、ジャワ語が一番使われており、30%以上(8100万人)の人々が使用しています。
*インドネシアの人口:2億7000万人(2020年9月国勢調査)
大手企業の高位な人々や高級ホテルなどのスタッフなどは英語を話せますが、インドネシア国内で英語を話すことができる人は少なく、タクシー運転手に指示するとき、町で人々とコミュニケーションするときなどは、インドネシア語を話す必要があります。
上手く話すことができなくても、インドネシア語を話そうとすると、インドネシア人はそれを高く評価する傾向があります。
ただし、インドネシア語が間違った場合、状況によってはインドネシア人を怒らせる可能性があります。たとえば、社会の中でより高い地位にある人(職位や年齢)に応対するときは、言葉だけでなく、身振りや手振りを慎重に考える必要があります。
インドネシアの階級社会
インドネシアでは社会的地位が重要であり、常に尊重されるべきものです。この地位は、主に人の年齢と職位に基づいています。
この階層を尊重するには、ほとんどのインドネシア人、特に地位の高い人に対し、特定の称号(男性の場合は「バパック」、女性の場合は「イブ」)で応対する必要があります。
そして、優しく、丁寧に話すことが望ましいです。
地位の高い人を否定したり批判したりするときは注意が必要です。既存の方針をあまり批判することなく、自分の意見で物事をどのように改善できるかを丁寧に説明することが最善です。
「間接的表現」が礼儀正しい
一般的に、インドネシア人は調和のとれた社会関係を維持することを重視しています。そのため、社会的調和を壊さないために、実際に考えたり感じたりすることを言わないように間接的な表現を用います。はっきりと直接的に好き嫌いを示したりせず、相手を不快な思いをさせたくないという思いがあるからです。
またインドネシア人が間違いを犯しても、批判するには注意が必要です。スピーチや声を上げて立ち向かう代わりに、笑顔で冷静に忠告したり、この状況でカジュアルな冗談を言ったりすることも許容されます。
インドネシアの価値観、道徳、倫理
宗教はインドネシア社会とインドネシア人の日常生活において非常に重要な役割を果たしています。したがって、宗教、伝統、文化に由来する価値観、道徳、倫理は、インドネシアの認識に影響を与える重要なことです。神を信じないインドネシア人はごくわずかです。
このように宗教的な考えが一般的であるため、インドネシア人の大部分が西洋文化に対し複雑な感情を抱いています。
それはつまり、一方では西洋の現代性を賞賛しつつも、他方では現代的な考えによる道徳の低下(例えば、結婚前に同棲するなど)を受け入れられない、といったことがあります。
インドネシアでの社交の重要性
インドネシア人は、ほとんどの生活における社会活動(食料品の買い物や食事など)を他の人と一緒に行います。
個人主義的であるよりも、良好な社会的関係を発展させ維持するためにそのような活動に参加する方が良いと考えるためです。
インドネシア人にとって、見知らぬ人と話すことも非常に一般的です。さらに、最初の会話中に、プライベートに関する質問をする傾向があります(婚姻状況や年齢など)。
これは誠実な関心であるだけでなく、社会的地位を評価する彼らの方法でもあります。
ビジネス関係では、より個人的なアプローチが重要です。
たとえば、インドネシア人は良好な関係を維持するためにあなたに直接会う必要があるため、ビジネスパートナーや同僚を夕食に招待することは賢明なことです。また多くの場合、商談はレストランやゴルフコースで行われます。
気をつけたいゴム時間
ゴム時間、またはインドネシア語で「ジャム・カレット」とは約束のために遅れて到着するという文化的現象。ゴムのように伸びるので「ゴム時間」と呼ばれています。
インドネシア人は時間に対して寛容で、仕事の締め切りに間に合わなかったり、約束の時間が遅れたりすることも珍しくありません。
インドネシアの大都市では、到着が遅いことが渋滞のせいにすることがよくあります。時間内に予定を立てたい場合は、より早くアポイントや締め切りを設定することが良いでしょう。
インドネシアのライフスタイルに合わせるためのヒント
最後に、インドネシア社会でどのように振る舞うべきかを理解するためのヒントをいくつか紹介します。
やるべきこと
- インドネシア人の知り合いに会うときや自己紹介するときは、必ず相手と握手すること
- 食べたり、飲んだり、握手したり、特に何かを渡すときは必ず右手を使うこと。なぜなら、左手は不浄と考えられているから
- 訪問する時に、家に入る前に必ず靴を脱ぐこと
- 特に神聖な場所や宗教的な場所に入る時に、きちんとした、目立たない服を着ること
- インドネシア人の宗教や信念を尊重すること。たとえば、ラマダン月に断食している人の前で食事をしない
してはいけないこと
- 公共の場所でアルコールを飲んだり、トランプゲームをしたりしてはいけない ※バリのような海外からの観光客が多いところには例外があります。しかし、法律と規範がイスラム教の原則に大きく影響されているインドネシアのほとんどの場所では、飲酒とトランプゲーム(ギャンブルに関連することが多い)は控えるべきものです
- 頭のてっぺんを触ってはいけない。特に高齢者にした場合、とても失礼と見なされます
- 公共の場所で愛情表現をしてはいけない。同性とも手を繋ぐことや軽くを抱き締める以外は、一般的に受け入れられません
- インドネシア人と話しているときは、傲慢で失礼と見なされているため、腰に手を置かない
- 地元の習慣を無視すること。多くのインドネシア人は今でも伝統的に暮らしているので、現代の都市世代の間でも、出身地の文化や習慣を今でも大切にしています
まとめ
インドネシア人の習慣や性格について説明できることはたくさんありますが、全てを把握することは難しいでしょう。しかし、「ジャム・カレット(ゴム時間)」のようなものや、伝統と宗教を保持することの重要性は、インドネシア人と関わる際は覚えておくべきだと思います。
また、日本人から見るとインドネシアの文化や習慣を理解できないことがあると思いますが、「間接的表現」や「社会のヒエラルキー」のようなインドネシアと日本、両方の文化の類似点を見つけることで、インドネシア人をより理解するために役立つかもしれません。
(執筆:Tania Paramita/編集:きたざわあいこ)