こんにちは、クリスク・インドネシアのジェリーです。
近年のデジタル化や、IoT、他の情報技術開発により、インドネシアではフィンテック業界が盛り上がっています。
その結果、キャッシュレス文化が急速に発展し、金融取引だけでなく、個人間の利用にも幅広く利用されています。
インドネシアフィンテックはローカル企業が牽引
データ調査企業のKatadataによると、2019年第2四半期のデータでは、月間アクティブユーザー数が多い上位5つのサービスは、GoPay、OVO、DANA、LinkAja、およびJeniusという、ローカル企業によって占められています。
2019年までのインドネシアeウォレットランキングです。(引用元:E-Wallet)
GoPay
インドネシアで最初のデカコーン企業となったのは、Gojek。GojekのGoPayは、アクティブなユーザーが最も多いeウォレットアプリです。
2019年2月、GoPayは63億米ドルの取引額を記録。うちGo-Jekでの取引が70%を占めました。 また、GoPayは、東南アジアで最大の食品配送アプリ(Go-Food)の支払い方法でもあります。
Jenius
Jeniusは単なるeウォレットアプリではありません。
ユーザーが他のeウォレット残高をチャージしたり、オフラインとオンラインの両方で外貨を送信したり、さまざまな金融プラットフォーム間でトランザクションを実行できるようにするバンキングアプリです。
インドネシアにおけるキャッシュレス決済普及の見通し
取引金額も年々増加しています。
インドネシア銀行(Bank Indonesia)のによると、2018年にインドネシアのeウォレット取引は15億米ドル(約1,650億円)に達すると予想されていましたが、実際には47.2兆ルピア(3,377億円)に達しました。この数字は、2017年に比べてほぼ3倍の増加です。
2023年には250億米ドル(約2兆7500億円)に増加すると予測されています。
なお、現在は38つのeウォレットがインドネシア銀行の口座と接続するための公式ライセンスを取得中とのこと。
ECにおけるキャッシュレス決済のトレンド
マッキンゼーによれば、インドネシアのEC市場は、2017年の80億米ドル(約8,400億円)から2020年には650億米ドル(約7兆1,500億円)へと8倍に増加すると言われています。
また、ECサイトのトランザクション金額は、2019年には1か月あたり11〜13兆ルピア(約790~930億円)になるとインドネシア銀行(Bank Indonesia)は述べています。
Tempo Data and Analysis Center(PDAT)が発表した2019年のオンラインショッピング行動調査データでも、現在のキャッシュレス決済の需要が高まっていることが示されています。
オンラインで買い物をするときに選ばれる支払い方法で最も多いのは、インターネットバンキングまたはモバイルバンキングを介して送金する方法です。
なぜキャッシュレス決済は増加したのか
では、なぜ人々はキャッシュレス決済を選択するようになったのでしょうか。
それは、キャッシュレス決済アプリを使用すれば、プロモーションオファーやキャッシュバックを受けられるチャンスがあること、消費者が簡単に使えることなどの理由が挙げられます。
キャッシュレス決済アプリを使用して支払うだけで、キャッシュバックやボーナスポイントがもらえるのは、ユーザーを引き付ける強力なマーケティング戦略です。
GoPayは2019年7月には、飲み物と食べ物の支払いに最大20〜40%のキャッシュバックを提供しました。
キャッシュバックされたキャッシュは、実際には現金化できないため、同じキャッシュレス決済アプリで利用することになります。また、ボーナスポイントや他の割引も同様であるため、売上増加に期待できると言われています。
新型コロナウイルスのパンデミックでキャッシュレス決済が人気に
また、キャッシュレス決済であれば、人々は取引を行う際の接触を最小限に抑えることができます。これは、新型コロナウイルスの感染防止に役立つとして、利用者が増加しました。
実際に、以下のインドネシア銀行(Bank IndonesiaI)のデータでは、2020年4~8月(大規模な社会的制限の時期)にキャッシュレス決済を使う人の数や販売数に変化が現れたことが分かります。
大規模な社会的制限により、多くの企業が、現金の受け渡しからQRコードの形式でのキャッシュレス決済の使用に切り替えたことがきっかけとなりました。
パンデミック中に人気だったキャッシュレス決済サービス
データ調査企業のKatadataによると、eコマースサイト「Shopee」のShopeePayでのトランザクションは、パンデミック中のキャッシュレス決済の取引回数・取引金額の点でOVOとGoPayを上回りました。
調査では、ユーザー数と市場シェアの頻度の点で、最大の総取引額はShopeePayでOVO、GoPay、DANA、LinkAjaがそれに続きました。
ShopeePayは、eコマース企業であるShopeeが提供するeウォレットとして、QRコードでの決済も可能です。
これにより、ユーザーは、飲食、小売、健康と美容、趣味、教育、エンタメなど、さまざまな場面で取引を行うことができます。
ShoppePayとの取引には、実用的かつ効率的であるだけでなく、キャッシュバックや、送料無料などの魅力的なオファー得られるメリットもあります。
まとめ
競争が激しいインドネシアのキャッシュレスサービス市場で、本土発祥のキャッシュレスサービス企業GoPayやOVOは多くユーザー数と高いシェア率が占めているものの、ShopeePayなど外資系企業の参入も拡大しているようです。
コロナ禍の前から急成長していたインドネシアのキャッシュレス決済は、今後の成長も見込まれているため、引き続き注目していきます。
(編集:きたざわあいこ)