こんにちは!
クリスク・インドネシアのタニアです。
新型コロナウィルスの影響が世界中に広まっています。しかし一部の仕事はリモートワークという方法でオフィス以外の場所でも行うことができるようになりました。
近年では、インドネシアでも効率的に仕事が行えると考えてリモートワークを選ぶ人が増えてきています。
2018年に調査機関・Owl Labs’が出したGlobal State of Remote Workのデータによると、世界平均で少なくとも週に1回以上自宅で作業する従業員は52%に上るそうです。
また、南アメリカでは完全リモートを許可している企業が81%と世界平均値より高い一方で、アジアではリモートワークを許可しない企業が世界平均よりも9%高いとのこと。
参照: https://www.owllabs.com/state-of-remote-work/2018
アメリカやヨーロッパ各国などの先進国ではリモートワークが一般的になりつつありますが、インドネシアのような新興国では未成熟な部分が多くあります。
今回は、インドネシアのリモートワーク状況について紹介していきたいと思います。
2014年にMicrosoftはリモートワーカー(リモートワークの形態で働いている人)について、アジア太平洋の10か国で調査を実施しました。10か国は、オーストラリア、ニュージーランド、香港、台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンです。
アジア太平洋の国々では、働く時間のうち20%以上をオフィス以外で行っている社員が74%なのに対して、インドネシアでは92%に達しています。また、残りの8%は、オフィス内での作業に100%の時間を費やしています。
アジア太平洋の平均値に比べて、インドネシアのリモートワークで働く人は多いという結果となっています。
インドネシア人がリモートワークで働くことを選ぶ理由はなぜでしょうか?
一般的に、インドネシア人がリモートワークが選ぶ理由は、世界各国で言われていることとおおかた共通しています。
しかし、インドネシアでのリモートワークには、アメリカや日本などの先進国には存在しないデメリットがあります。
職種にもよりますが、一般的にリモート環境で快適に仕事を行うには、高速なインターネット回線が必要となります。
しかし、インドネシアにおいて高速なインターネット環境があるのは、ジャワ島とバリ島に限定されていることに加えて、国の平均速度もまだ世界標準をはるかに下回っています。
2019年のWe Are Socialのデータによると、世界の平均インターネット速度は54.3 Mbpsですが、インドネシアの平均速度は15.5 Mbpsに留まっています。
Microsoftによる2014年のNew World of Work調査の結果では、会社から適切なデバイスを提供されたインドネシアのリモートワーカーは29%でした。
提供されたデバイスが適切ではないが十分だと答えたのは51%。一方、不十分なデバイスだったのが14%で、6%はまったく提供されなかったと述べています。
そして、2020年のWe Are Socialのデータは、インドネシア人はスマホを含む携帯電話はおおよその人(96%)が持っているものの、PCやラップトップを所持している人は66%に留まると分かりました。
インドネシア企業の75%は、従業員の働き方としてリモートワークをサポートしていません。
などの理由から、リモートワークを広く活用できていないのです。
インドネシアでは、リモートワークがまだまだ普及し充分に活用されている状況ではありませんが、リモートワーカー向けのWebサイトやコワーキングスペースなどのサポート施設は増えてきています。
2017年4月には、インドネシアのコワーキング・アソシエーションに75のコワーキングスペースが登録されました。
利用者が自分で賃貸代金を払わなければならないことや、オフィス街に立地するため賃料が高いなどの問題がありますが、コワーキングスペースの数は増え続けています。
コワーキングスペースは、Wi-Fi、ワークデスク、ロッカー、会議室などの充実した設備を提供しています。通常、個室と共有スペースで構成され、支払いシステムも、時間単位、日単位、月単位から選べます。
インドネシアには、リモートワーカーやリモートワーカーを探している企業向けの情報を掲載した多くのWebサイトがあります。
最も人気のあるものの1つはSribulancer (https://www.sribulancer.com/)で、クライアントにはGO-JEKやTravelokaなどのインドネシアの有名IT企業が含まれています。
また、Dokodemo-Kerja と呼ばれるリモートワークを管理するためのアプリケーションもあります。
Web開発・モバイルアプリ開発会社であるLogiqueが開発したこのDokodemo-Kerjaは、従業員の作業活動と勤務時間を記録、集計、管理することができます。
このアプリは、特に人事部や現場マネージャーなどがリモートワーカーを管理するために使われています。
インドネシアの労働者もリモートワークを望み取り組んでいますが、それを実際に行うことに慣れていない人も数多くいます。
これは、インターネット回線やPCの保有率などの設備・環境面やリモートワークをサポートしていない企業制度なども要因であると考えられます。
現在、コロナウイルスの影響により、インドネシア政府は、労働者のために自宅勤務(Work From Home=WFH)をするように命じています。
今回の非常事態をきっかけとし、政府が地域にインターネット平準化プログラムを実行するなどのサポートを提供した場合は、インドネシアのリモートワーカーの数が大幅に増えていくと予想されています。
そうなれば、今後リモートワークのシステムがより広く企業に導入され、リモートワーカーとリモートでの仕事もよりニーズが高まっていくでしょう。
(編集:きたざわあいこ)