こんにちは!
クリスク・インドネシアのタニアです。
近年、 訪日インドネシア人の数は急激に増加しています。
JNTOのデータによると、2011年から2018年の7年間の間に、3万3,954人から33万217人と10倍以上に増加しました。
ビザ免除プログラムによる観光ビザの取得が容易になったこと、格安航空券の普及は当然理由として挙げられます。しかし、もう一つ重要なのは、ムスリム(イスラム教徒)の信仰や、ライフスタイルに合ったハラールツーリズムのプロモーションだと言えるでしょう。
世界で最もムスリムが多い国 インドネシア
上記のグラフを見てください。
パキスタン、インド、バングラデシュ、エジプト、ナイジェリア、イラン、トルコ、アルジェリア、モロッコなどのイスラム諸国と比較して、インドネシアがイスラム教徒人口が2億500万人と最も多い国だとわかるでしょう。
この数は、インドネシアの総人口の88%、世界のイスラム教徒の総人口の13%になります。
日本では、2012年より国土交通省・観光庁が主体となり、各自治体や企業とともに訪日イスラム教徒に向けた各種施策を展開しています。
このような、ムスリム観光客に良いホスピタリティを提供するというコミットメントは、イスラム教徒が主であるインドネシア人にとって非常に魅力的に映るのです。
ハラールツーリズムに必要な条件
ムスリムにとって、ムスリムが少ない国へ海外旅行するときにはいくつかの困難があります。
2019年のGlobal Muslim Travel Index(GMTI)は、ムスリム旅行者のニーズを「必要だ」、「あって良かった」、「あってうれしい」に分けて調査しました。その結果、最も重要なのは、ハラール食品、お祈りの施設、祈りの前に体を清められる水場、イスラム恐怖症がないことでした。
ここからは、そんなムスリムに対応したハラールツーリズムにおいて、何が重要になるのかを詳しく説明していきたいと思います。
ハラール食品
イスラム教では、食品は「ハラール」と「ハラム」の2つに分けられます。
ハラールとは、アラビア語で「許されている」という意味で、反対に「ハラム」または「ノンハラール」は「禁じられている」という意味です。
要するに、ハラール食品は「食べて良いもの」のことです。
イスラム法によると以下の定義に合う食品が「ハラール食品」と言うことができます。
- お酒、豚肉、または死んだ動物の肉など、イスラム教徒による摂取が禁止されている成分は一切含まれていない
- イスラム法に従ってクリーニングされた機器または機械を使用して処理、製造、生産、および保管されている。
つまり、禁止された成分が含まれていないだけでなく、調理器具の使用も注意する必要があります。
さらに、多くのレストランでは、調理器具、食器などの消毒剤としてアルコールが使用されますが、イスラム法では、中毒物質が含まれているためアルコールは禁止されています。ただし、健康のために使用される場合のみアルコールは許可されます。
なお、食品がハラールかどうかを確認する方法にハラール認証があります。ハラール認証は、その製品・食品がイスラム法に従っていることを宣言するために専門家により発行された認証です。
ハラール認証は、商品が消費のために保証され安全・安心であることを示すので、生産者にとっては商品のUSP(Unique Selling Point)になり、消費者の信頼を高めることができるため、グローバルなハラール市場に進出するきっかけとなるでしょう。
礼拝室やモスク
ムスリムは1日に5回サラート(礼拝)する必要があるため、旅行中であっても礼拝室やモスクは不可欠です。
礼拝室は、空港、駅、ショッピングモールなどの公共の場所にありますが、モスクは公共の場所にある建物である祈りの場所です。お祈り以外にも、モスクはイスラム教のお祝いがあるときに使用されます。
礼拝室について知っておくべきことは、女性と男性のエリアの分割が必要だと言うことです。なお、女性用と男性用のエリアが1つの部屋で、パーティションで区切られている礼拝室もあります。
なお、礼拝室やモスクには、「キブラ」という礼拝を行う方向を示すサインと手と足を洗うための洗浄エリアを装備する必要があります。また、室内での飲食を禁止する以外に、礼拝室に入る前に履物を脱ぐ必要もあります。
ムスリムフレンドリーなホテル
宿泊も海外旅行で考慮する要因なので、旅行中の施設だけでなく、ハラールツーリズムにはムスリムフレンドリーな宿泊施設も必要です。
礼拝室はもちろん、ホテルの部屋で「キブラ」のサインの有無、お祈りのマットや他の道具などの提供も考慮しなくてはなりません。
より良いおもてなしを提供するなら、これらのムスリムフレンドリーホテルにはハラールフードメニューが必要です。メニューにはハラール認証を取得し、ハラール料理とノンハラール料理に調理器具を分けるホテルもあります。
日本の有名なハラール観光地
訪日イスラム教徒の観光客の増加に伴い、さまざまなハラールツーリズム施設が建てられています。例えば、成田国際空港や関西国際空港から入国したムスリムは、空港内のハラールレストランや礼拝室などを利用するでしょう。
では、日本には他にどんなハラール施設やレストランがあるのか、紹介いたします。
東京ジャーミイ
東京ジャーミイまたはTokyo Camiiは、日本最大のモスクです。東京の中心に位置するこのモスクは、トルコ文化センターでもあります。東京ジャーミイは、1938年に、日本に来ていたロシア帝国出身のタタール人の移民によって隣接する東京回教学院と一緒に建てられました。建物のデザインはトルコ発のさまざまなオスマン様式の装飾品で飾られます。このモスクは、礼拝、特にイスラム教の祝日のために約1,200人を収容することができます。
東京ジャーミイでのSyahriniとReino Barackの結婚式の投稿
引用元: https://www.instagram.com/princessyahrini/
2019年2月に、インドネシアの有名な歌手であるSyahriniは、東京ジャーミイで若手実業家Reino Barackと結婚しました。この結婚式は、インドネシアと日本のエンターテイメント世界でも大きな話題になりました。
新宿御苑らーめん桜花
新宿御苑らーめん桜花は新宿にあるハラールラーメン店です。 このレストランのオーナーは、イスラム教徒である日本人の夫婦です。この店には大塚モスクまたは宗教法人日本イスラム文化センター(http://www.islam.or.jp/)のハラール認証も取得し、お酒も販売していません。
日本のラーメンのほとんどは、牛肉と豚肉で作られた出汁を使用していますが、らーめん桜花では鯛の出汁を使用しています。 提供されるメニューは、スパイシーハラール、ビーガンラーメン、ハラールラーメンです。
上記は、インドネシアの旅行ブロガー、Fitriana Sastrosumartoのレビュー記事です。Fitrianaさんは東京に行くたびにらーめん桜花をいつも訪れていると言っています。メニューの美味しさ、フレンドリーなオーナーがいることがムスリムのお客様を快適にしてくれ、非常におすすめだそうです。
日本だけでなく、この「The Moslem Traveler」というブログでは、韓国、シンガポール、タイなどでのムスリム旅行者のニーズに関する様々な情報をシェアしています。
Halal Kobe Beef Nagomi
ハラール神戸牛を提供するレストランは非常に珍しいので、これは「Halal Kobe Beef Nagomi」の特徴になります。 大阪にあるこのお店は、関西エリアで観光する観光客にとって簡単にアクセスできます。
メニュー価格は、150グラムの神戸牛コースの標準の22,000円から、300グラムのサーロインとフィレのコースの68,000円などです。
ハラール証明書を取得しているこのレストランには、ハラールツーリズムを提供するための礼拝室とお祈り道具も用意されています。
まとめ
ムスリムの観光客は、ハラール料理と礼拝室の有無を非常に気にします。私が日本に住んでいたときには、イスラムのルールを順守したムスリムの友達や親戚をよく観光案内したものです。
しかし現在は、ウェブサイトやいろんな日本のメディアでハラールツーリズムに関する情報を見つけるのが、比較的に簡単になってきました。
ハラールツーリズムに関する情報をインターネット、特にSNSで積極的に発信することで、ムスリムの観光客を呼び込みやすくなるでしょう。
(編集:きたざわあいこ)