こんにちは。
クリスク・インドネシアのジェリーです。
東南アジア各国では、インダストリー4.0と一般に言われている、主に製造業におけるオートメーション化やデータ化・コンピューター化を目指す第四次産業革命が推進されています。
インドネシアの教育もインダストリー4.0からの影響を切り離すことはできません。特に現代では、IT(情報技術)は学校での活動に非常に大きな影響を与えています。 ITの普及により新しい情報と知識は簡単に広がり、必要としている多くの人々がアクセスすることができるようになりました。
そんなIT化が進む世界の中で、インドネシアがどんな教育システムとなっているのかを説明していきたいと思います。
インドネシアの教育レベルの現状
インドネシアの労働者人口の約41%の最終学歴が小学校卒業以下となっています。また、小学校での中退者が多いことも問題となっています。この状況は、インドネシアの国際的競争力の妨げとなっていると言えるかもしれません。
インドネシアでは、政府をはじめてとして、教育従事者、EdTech(エドテック)など国の教育に関する課題を解決するためにさまざまな取り組みが行われています。
インドネシアの基本的な教育システム
インドネシアの学校教育制度は日本と同様に6・3・3制で、中学校までの9年間が義務教育となっています。2015年から義務教育期間を12年間に延長にするという案が出ましたが、今まで具体的な変更計画は政府から出ていません。
乳幼児教育機関(幼稚園・保育園)
以前は、インドネシアにおいて幼年期(0~6歳)教育はあまり必要と認識されていませんでしたが、2016年に政府は幼年期教育の重要性を発表。法律と政府によって、6-7歳の子供は小学校に入学する時に、専門の心理学者からテストを受ける必要があります。
また、インドネシアの乳幼児教育機関(Pendidikan Anak Usia Dini、PAUD )から、 小学校に入る前に 最低1年間程の幼児教育を経験したほうが良いともアナウンスされました。
幼稚園で音楽を楽しむ様子
幼児教育は、将来的な国家の繁栄につながると重要視されていますが、実際には両親の経済的能力次第でどういった教育を受けられるかが決まります。
PAUD(乳幼児教育)は、 1ヶ月間で15万ルピアから20万ルピア(約1,142~1,523円)、年間で最大200万〜1500万ルピア(約15,233~114,254円)の学費がかかります。
また、最長の学習時間は午前8時から10時までの1日2時間です。現在、インドネシアのPAUD(乳幼児教育)はほぼ私立の学校です。海外レベルのPAUD(乳幼児教育)もありますが、言語は英語で、もちろん学費は一般に比べ高くなっています。
※インドネシアの平均年収は、約27万円と言われています
小学校・中学校・高校
インドネシアの基礎教育は基本的に2つに分けられます。政府が管理するもの(公立)と、市民コミュニティ・財団が管理するもの(私立)です。 それに加えて、宗教が独自に管理する教育文化省のものもあります。
一般的に私立学校は、公立学校に比べて学校設備がより良いです。 しかし、公立学校では、さまざまな社会的、文化的、経済的、宗教的背景を持つ生徒と触れ合うことができます。これは他の人の性別や家族事情などを理解することを学ぶ機会となります。
一方、私立学校ではこの機会が減ることになります。 たとえば属する宗教が特定の1つしかないなど、私立学校の生徒は一般的に家庭環境などの背景が比較的似た傾向にあります。
インドネシアの2017-2018年の私立の場合にかかる学費は以下のようになっています。
記載通貨はIDR(インドネシアルピア)です(1 ルピア =約0.0076 円)。
なお、一般的に公立学校の費用は半分~1/3ほどです。
インドネシアはインフレのため教育費が増加傾向となっており、年ごとの増加率は15~25%と高騰しています。
インターナショナルスクール
インドネシアにも国際教育をサポートする海外系の学校(インターナショナルスクール)があり、カリキュラムや教育環境が充実しています。インターナショナルスクールの教育方針と学習のプロセスは、創造性を育みイノベーションや新しいアイデアを生み出せる人材を輩出することを目的としています。
ホームスクーリング
インドネシアのホームスクーリングは、非公式な教育システムとなります。 ホームスクーリングでは、親によって子どものニーズに応じ自由にカリキュラムを選択することができます。なお途中から公立の学校に入る場合は、政府による試験に合格すれば入学可能です。
料金は、インドネシアのホームスクーリング機関から購入した教材とカリキュラムによって異なり、子供のニーズに合わせて調整できます。ホームスクーリングの学習時間と教育方法もフレキシブルで調整ができます。
現在、インドネシアのホームスクーリングは、家族の状況次第ではオンラインまたは家に先生を呼ぶことも可能です。
変わる教育システムと新たな取り組み
IT化が進む中で、インドネシアの教育システムも変わってきています。最近注目されているツールや取り組みを紹介します。
① オンライン教育(eラーニング)
現在、インドネシアの大学では市立公立を問わず、キャンパスに行かなくても授業を受け、単位を取得することができる学校が増えています。
インドネシアでは、インダストリー4.0に向けてオンライン教育(eラーニング)に積極的であり、2023年におけるオンライン教育(eラーニング)市場は、122億USD(約1兆3,624億円)へと増加が予想される有望な市場となっています。
② 教育アプリ
インドネシアでも世界の国々と同様に多くの教育アプリが利用されています。小学校から高校まで幅広いコースがあり、各アプリによって費用やメニューなどもさまざまです。
このように、インドネシア国内で使える教育アプリも増えてきています。
まとめ
2019年10月には、インドネシアのITスタートアップ企業・GO-JEKの 共同創業者ナディム・マカリム氏(35)が、第2次ジョコ政権に閣僚として加わることが発表されました。
世界のテクノロジーがこれからさらに高度になるに伴い、新しいテクノロジーを活用し、新たなイノベーションを生み出せる人材が必要です。そのためには、教育の役割が非常に大切であることは間違いありません。
テクノロジーを享受した若い世代から、これからのインドネシアの将来や世界を創っていく人材が、数多く生まれることを願います。
(編集:きたざわあいこ)