こんにちは、
クリスク・インドネシアのジェリーです。
インドネシアでは、近年GO-JEK、Traveloka、Tokopedia、Bukalapak のIT系スタートアップ企業4社がユニコーン企業(時価総額が10億ドルを超える未公開企業)として、急成長を遂げ注目を浴びていました。そんな中、2019年には遂にGO-JEKがデカコーン企業(時価総額が100億ドルを超える未公開企業)になりました。
インドネシアだけでなく、東南アジアのスタートアップで働く人々や起業家・投資家、メディアなどの多くが次のインドネシアのデカコーン企業の登場を待ち望んでいますが、今回、インドネシアのユニコーン企業の中でも特に急成長を遂げていることで注目を浴びるEコマース企業・Bukalapakを紹介します。
2019年現在、Bukalapakに参加している売り手(pelapak、ペラパック)は400万、 ユーザー数は5000万人に達しています。2019年第一四半期のインドネシア・Eコマースの月間サイト訪問者ランキングではBukalapakは、Tokopediaに次ぐ2位となっています。
Bukalapakと他のEコマースの大きな違いは、B2B、C2C、O2Oなど幅広い領域にサービスを展開していることです。さらにBukalapakは独自コミュニティの形成、独立系ビジネスオーナーの支援など事業活動においても様々なイノベーションを行っています。 日本のEコマースにはまだない機能もあるBukalapak。主な機能を紹介してみましょう。
Eコマースなのにコミュニティ? と思われるかもしれませんが、これがBukalapakのビジネスに非常に影響を与えています。ここでは人気のコミュニティを3つ紹介します。
Bukalapakと売り手は、セミナーやウェビナー、オフラインシェアリングセッション、商品を売るアドバイスのQ&Aなどのイベントを通して、強い結びつきを作っています。Bukalapakは、インドネシアNo.1のマーケットプレイスとなり、インドネシアの中小企業の活性化を目指しています。
引用元: https://www.youtube.com/watch?v=GTJgWQTgI_4
Bukalapakの中でエンターテイメントにフォーカスしたコミュニティ。人気歌手がYoutubeを使ってライブセッションや曲の紹介などを行います。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=ymSma9Bj-24
Bukalapak上での問題やインドネシアで話題になっていることなどをセミナー形式で紹介します。例えば、Bukalapakのデータ部門がビックデータをテーマに社内のデータサイエンティストや外部の有識者とオフラインセミナーを行います。
セミナーでは、Q&Aやディスカッションコーナーなど、活発な議論が展開されてます。以下の動画は、同じくインドネシアを代表するテック企業GO-JEKのSVP Business IntelligenceであるCrystal Widjajaがスピーカーを務めたBukaTalksです。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=ymSma9Bj-24
Bukalapakは、エンジニアなど若い社員が多く、ギークな働き方やスピード感のある組織運営、サービス開発などスタートアップ色の強い企業カルチャーを持っています。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=3VtB304IsAA
さらにその独自のカルチャーを表現するためにオンラインマーケティングとして、インドネシアの大人気Youtuber「Bayu Skak」と動画を制作しました。内容は、Youtuber「Bayu Skak」がBukalapakのCEOになりスタートアップ企業での働き方などにカルチャーショックを受けるというユーモアなものです。動画視聴数は、100万回を越えるものとなりました。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=45IdePb_chc
2019年2月、Bukalapakは、創業者であるAchmad Zakyの母校であり、多くの社員の卒業校でもあるInstitut Teknologi Bandung(バンドゥン工科大学)とインドネシア初の人工知能(AI)研究機関を設置しました。この研究機関で得た知見をBukalapakへの事業へと活かす試みがはじめられています。
また、2019年5月、Bukalapakは「BukaGlobal」という海外向け輸出サービスプログラムを開始。シンガポール、マレーシア、香港、台湾、ブルネイ・ダルサラーム国への輸出サービスの提供をはじめました。Bukalapak は、2022年にインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムに新たに5000万人の消費者が出ると推定しており、その購買力を取り込みさらなる成長の加速を目指しています。
インドネシアにおいて、Lazada,shopeeなどの外資系ECサイトを抑えて、国内ECサイトがユーザー数1、2位を占めている理由として、以下が挙げられます。
クレジットカード普及率がまだ低いインドネシアでは決済方法の多様性は重要な競争力です。
UI・UX、デザイン、マーケティングなど独自の趣向性を反映したサービスを実現しています。
グローバルEコマース企業に比べて、東南アジアの国内Eコマース企業は資金力に劣ることが多い。しかし、インドネシアの経済成長のポテンシャルに着目しているソフトバンクやテンセントなどから豊富な資金調達を実現しています。
しかし、Shopee、Lazadaなどの外資系Eコマース企業とのさらなる競争の激化は、確実視されています。そのため、Tokopedia、BukalapakなどのローカルEコマース企業は、競争を勝ち抜くため、「今後5年から10年のさらなる競争の激化に対応するために品質向上などに取り組んでいる」と述べています。
個人的には、インドネシアではたくさんEコマースサイトがありますが、商品によってはオフラインで買ったほうが良いと思うものもあります。例えば、ファッションに関しては、オンラインで服を買う場合、本当のサイズや品質がわかりにくいからです。また、Eコマースサイトはただのメディアプラットフォームとなっているため、不便を感じるときもあります。
私は、下の3つのEコマースアプリをカテゴリー別に使い分けて購入しています。
例えば、
購入するかどうかは、売り手と商品のレビュー内容で決定します。基本的には、Eコマースアプリやウェブサイトの内容はほぼ同じですが、BukalapakのUI・UXがもっともユーザービリティが高いと感じています。
これから、インドネシアのEコマースアプリとウェブサイトを通して、ユーザーは増加するインドネシア企業や海外からの商品がもっと簡単に購入できるようになるでしょう。また、それに伴い、物流サービスのクオリティ向上や決済方法のさらなる多様化なども見込まれます。
経済成長しているインドネシアにおいて、BukalapakがNo.1のEコマースサイト、次のデカコーン企業になれるのか要注目です。
(編集:しらにた ようすけ)