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中国人富裕層は日本で何をしたい?訪日客のニーズ・消費行動を徹底インタビュー

コロナ禍以前には毎年訪日客数を伸ばしていた中国。コロナ以降の現在は、訪日総数は減少しているものの、依然としてインバウンド需要のメインを担う一国であることは間違いありません。今回は、その中でも特に中国人富裕層に着目し、日本旅行に何を求めているのか伺ってみました。

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コロナ禍以前の2019年には、訪日客数が約960万人に上っていた中国。コロナ禍以降はさまざまな規制もありその数は減少、2023年1〜7月の訪日数は約91万人と、まだ少ない状態です(数字は日本政府観光局調べ)。

韓国や東南アジアなどからのインバウンドが復調する中で、中国の訪日客数が伸び悩んでいる背景には、中国から日本への団体旅行が規制されたまま再開されていなかったことが挙げられます。しかし、中国政府はこれを2023年8月に解禁。中国人観光客は再び急増することが予測されています。

中国人観光客と言えば、以前は富裕層をメインに「爆買い」をするイメージもありましたが、今後は日本にどのようなことを求めて来るのでしょうか。高級品などの爆買いなのか、あるいはまた別のものなのか……。

今回は、クリスクのパートナー会社で、中華圏富裕層向けコミュニティ運営事業やインバウンド支援事業を展開する「株式会社行楽ジャパン」のマーケットマネージャー周君也様と、香港で中華圏マーケティングを運営する香港メディア会社「KOLive Media Limited」のCEO・Sam Kwok様にインタビューをしました。

今回の記事では、インタビューの前半をお届け。中国人富裕層のペルソナ、来日の目的、そして消費行動に焦点を当ててお話を伺います。

 

周君也 様

周君也 様
株式会社行楽ジャパン マーケットマネージャー

中国最大手OTA「Ctrip」に3年間勤務し、日本顧客向けコンサルティング営業に従事。それ以来、日本大手総合商社三井物産で中国関連新規事業に携わってきた。日本に10年間在住しており、日中文化の共通点や相違点を熟知、それを活かし日本企業や自治体における中華圏富裕層へのリーチをサポートしたく、行楽へジョイン。個人活動として、中国TikTokをはじめ、総フォロワー数170万人のSNSアカウントを運営。
https://kouraku-japan.jp/

Sam Kwok 様

Sam Kwok 様
KOLive Media Limited CEO

香港で新記録を打ち立てた旅行ガイドの出版社Skyyer Holding Limited創設者。メディアプロモーション、オンラインおよびオフラインのコンテンツ作成、オンラインマーケティング、出版などの分野で20年以上の経験を持ち、クライアントは累計10,000社を超える。大手電機業界(サムスンやソニーなど)や政府機関(日本観光協会、香港観光局など)、大手金融機関(AIG、平安、工業、金融など)へサービスを提供するほか、国内銀行の銀聯参入にも関わった。
https://www.kolive.media/

 

富裕層の中でも上位クラスは投資目的で来日

クリスク
クリスク

中国からのインバウンド需要の中でも、注目されているのが富裕層の消費行動です。ただ、ひと言で富裕層と言っても幅があり、年齢層などペルソナが変わってくるのではないかと思います。

そこでまず、富裕層のペルソナを少し細分化して教えて頂けますか。

SAMさん
SAMさん

そうですね、金融系の仕事に携わる人や、70年代に増えた新興富裕層の子どもたちに当たる「富二代」などの超富裕層が2割くらい、残り8割は若いビジネスマンに多い富裕層というように、大きく分けられると思います。超富裕層は30〜45歳くらい、富裕層は20代後半から30代後半くらいまでと、少し年齢層も異なります。

周さん
周さん

私たちは約80万以上の中国人FIT層(個人旅行を求める層)を中心とするコミュニティを運営していますが、たしかに富裕層と言っても段階があり、それぞれに消費傾向や好みが異なります。プチ富裕層、富裕層、プレミアム富裕層とで分けられると考えています。

クリスク
クリスク

それぞれ、消費行動にどのような違いがあるのでしょうか。

周さん
周さん

プチ富裕層はセレクティブラグジュアリーで、自分が一番関心を持っているものに集中してお金を使う傾向があります。フライトはエコノミークラスでも、ホテルやレストランは五つ星の店を選ぶといった感じですね。

富裕層のキーワードはクラシックラグジュアリーです。フライトも宿泊施設も食事も高価なものに価値を見いだす、典型的な富裕層となります。

プレミアム富裕層の場合は、ビジネス目的のついでに観光をする形が多いです。ただ旅を楽しむのではなく、ビジネスのヒントや学びになるコンテンツを求めて来日する傾向があります。

SAMさん
SAMさん

観光目的で来る場合にはファミリー旅行が多いですが、超富裕層の投資家や経営者は投資を目的として訪れるケースが大半ですね。

香港の富裕層は常に日本の最新情報を求めていて、グルメやブランド品などにも詳しいです。

クリスク
クリスク

富裕層全体として、訪日経験は多い傾向にあるのでしょうか。

SAMさん
SAMさん

香港人は日本が好きで、リピーターは多いですよ。コロナ禍前は東京が人気でしたが、最近は新しいアトラクションの多いUSJがある大阪の人気も高まっています。

周さん
周さん

私たちのコミュニティでは初訪日という人は少ないです。訪日時は買い物をメインの目的として東京・箱根・富士山・名古屋・京都・大阪というゴールデンルートを回る人が多いのですが、最近では、富裕層とプチ富裕層はモノ消費からコト消費にシフトしてきています。

つまり、日本で特別な体験をしたいということです。

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富裕層が集まるインナーサークルで日本の情報を共有

クリスク
クリスク
では、富裕層の人たちは日本旅行にあたって、どのように情報を収集しているのでしょうか。
周さん
周さん

プチ富裕層はweibo、レッド(小紅書)など一般的なSNSプラットフォームを使って情報収集しています。

それ以上の富裕層、プレミアム富裕層に関しては、独自のネットワークを持っていて、そのインナーサークル内で情報交換をします。たとえばWeChat内に、富裕層が集まるグループチャットがあり、日本に関する情報がやりとりされているんです。

SAMさん
SAMさん

一般的な富裕層はSNSやGoogleで検索したり、KOL(Key Opinion Leader:中国の消費者の購買意志決定に影響力を持つ、専門性を持ったインフルエンサー)や有名なブロガーの記事を読んだりもしますよね。家族旅行ではインナーサークルで友達からの口コミを参考にすることも多いです。

超富裕層になると、旅行専門のコンサル企業に依頼をしたり、信頼性の高い知人に意見を求めたりしています。

周さん
周さん

富裕層でもクラスが上がるほど、独自のネットワークを使って友人や知人から情報を得る傾向がありますね。友達が投稿した富山県のミシュランレストランの写真や動画を見て、同じ場所に出かけるなど、富裕層同士でお店を紹介し合ったりしています。

クリスク
クリスク

最近では、美容整形や健康診断、がんなどの病気治療などを目的に訪日する、医療ツーリズムも増えていると言われていますが、その場合も同じようにインナーサークルで情報のやりとりがされているんでしょうか。

周さん
周さん

観光ではなく、医療ツアーやビジネスツアーなどの場合は、富裕層に対応するコンシェルジュサービスを使って、専属コンシェルジュに予約してもらうケースがほとんどです。行楽ジャパンでも今後、富裕層に高付加価値なサービスを提供するエリートクラブを展開する予定です。

SAMさん
SAMさん

医療ツアーはビザが必要で、病気の治療などの場合は専門用語も多いため通訳も必要となります。健康診断や簡単な治療の場合なら、そのついでに周辺の観光をする人も多いため、ビザの手配や通訳、さまざまな施設の予約などを包括的に対応できるサービスには需要がありますね。

クリスク
クリスク

なるほど、ビザや通訳の手配も一括したサービスは今後需要が高まりそうですね。

子ども連れならアクセス重視、地方人気も上昇中

クリスク
クリスク

日本国内で、中国人富裕層に今人気のあるエリアはどこになるのでしょうか。

SAMさん
SAMさん

リピーターの場合は、以前行ったことある場所にもう一度行くケースが多いです。香港人は日本好きが多く日本に詳しいので、昔行った場所がコロナ禍後にどう変化しているか、もう一度訊ねてみたいという人が多いんです。

また、子どもを連れて家族旅行に行く富裕層も多いので、USJなどアクセスがよく、子どもが楽しめる場所も人気です。

周さん
周さん

富裕層は特別な体験を求めるので、FITで一般的に人気な場所を避けて、地方に行く人も増えています。富山県や新潟県、九州など、地方のミシュランレストランや日本酒を楽しんだりしています。

東京周辺の場合だと、軽井沢に別荘を購入したいという人も増えています。

クリスク
クリスク

特別な体験というのは、具体的にどのようなことが挙げられるのでしょうか。

周さん
周さん

たとえば、7月の京都の祇園祭では、40万円の高級観覧席を、コンシェルジュを通して購入したいという問い合わせがありました。

日本の伝統文化を体験したり、予約が取りにくいレストランに行ったりと、日本人でも入りづらいところに、コンシェルジュを通して予約するんです。

クリスク
クリスク

超富裕層、プレミアム富裕層はビジネスや投資目的が多いとのことですが、その場合は具体的にどういう行動が多いのでしょう。

SAMさん
SAMさん

最近は不動産投資が熱いですね。毎月日本に来て、旅行人気の高いエリアでホテルや旅館を購入するケースが増えてきています。そのついでにゴルフをしたり、高級な日本食やバーを楽しむという感じです。

クリスク
クリスク

確かに、最近では熱海の別荘や旅館、東京のタワーマンションを購入する中国人が増えているといった話はよく聞きますね。

周さん
周さん

M&Aを目的に来日し、温泉旅館などを買収して運営するケースは増えてきていますよね。

ゴルフも富裕層には避けられないコンテンツですね。ゴルフ場やスキー場をM&A目線で回っている人もいます。

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まとめ

富裕層の中でも、特に上位クラスの人々は、主に投資の目的で日本を訪れています。また、中国人富裕層のニーズはモノ消費からコト消費に移り、その地域でしかできないことや、祭などその時期にしか味わえないことなどに集中して、大きな額を消費する傾向も。

そうした特別な体験がSNS内のインナーサークルで共有され、さらに需要を高めていく、そんなサイクルが生まれていることが伺えました。

次回の対談では、中国の富裕層の方々の日本での過ごし方、宿泊施設、そして移動手段について詳しくお話しいただきます。どうぞお見逃しなく!

クリスクでは、現地スタッフによる各国の調査を踏まえたWebマーケティングをご提案しています。もしSNS運用やWeb広告運用の案件があれば、お気軽にお声がけください!

※本文内で引用されている資料・データ、登場する人物の所属名・役職名などは掲載当時のものです。

東南アジアにおけるSNSを活用したマーケティングをサポートします。お気軽にご相談ください。

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この記事を書いたのは

東南アジア・東アジアのマーケティングに携わり12年!
タイから始まりベトナム・マレーシア・インドネシアにもオフィスを構え、現地メンバーと日本のディレクターチームとで東南アジア・東アジアでの集客・プロモーションを支援しています。

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